作品
基本情報
- アーティスト
- Moby Grape
- 発売
- 1969
- アルバム
- 第4スタジオ・アルバム
- オリジナル曲数
- 11曲
- レーベル
- Columbia CS 9912
- セッション編成
- Lewis、Miller、Stevenson、Bob Moore
重要な理由
縮小したMoby Grapeが、ナッシュビルの明晰さに残せるものを見いだす
Skip SpenceとBob Mosleyが活動編成を去った後を記録する。ギタリスト、主要ベーシスト、大きな歌声、二人の作曲者の喪失が、デビュー作の民主的5者設計を根本から変えた。
欠けた密度を模倣せず、Peter Lewis、Jerry Miller、Don StevensonはナッシュビルのBob Mooreと組む。より軽量でカントリー志向、2ギターの分離と3声の個性へ依存する音となる。
Bob JohnstonがDavid Rubinsonに代わり制作・編曲。ナッシュビル環境は『Wow』の劇的制作や『Grape Jam』の開放即興より、直接演奏、アコースティックな輪郭、素早い曲形を好む。
全11曲は多様性を保つ。Lewisの内省的作曲、Dell’Ara名義曲、Miller–Spence共作Tongue-Tied、長編Now I Know High、二分されたLove Songが並ぶ。
原作曲クレジットは慎重さを要する。法的紛争期の当時盤は複数曲をロードマネージャーTimothy Dell’Araへ割り当てる。本ガイドは各曲の隠れた作者を捏造せず記載を報告する。
短い制作期間は即時性として聞こえるが、即時性は無能と同義でない。和声、ギターのボイシング、Mooreのベースに効率的な編曲解決が現れる。
最初の活動期最後のColumbiaスタジオLPとして終点を示すが、回顧作には聞こえない。圧力下の変化したバンドが作る当時進行形の簡潔なナッシュビル作だ。
ナッシュビル、1969年
メンバー3人、セッション・ベーシスト、短期間のColumbia制作
『Moby Grape ’69』後にBob Mosleyが去り、Lewis、Miller、Stevensonが活動中のバンドとなった。Spenceは前作の大半のセッション以前に脱退していた。
Columbiaは3人をナッシュビルへ送り、Bob Johnstonと制作。当地の著名セッション奏者Bob Mooreがベースを弾いた。
録音日は1969年5月27~29日とされる。3日間の短さは直接性を説明するが、すべての粗さを急ぎのせいにしてはならない。
米国原盤はColumbia CS 9912。約30分の全11曲。
Peter LewisはChanges, Circles Spinning、Looper、Right Before My Eyes、Now I Know Highの明確なクレジットを持つ。Timothy Dell’Araは6曲、Tongue-TiedはMiller–Spence共作。
マネジメントと出版をめぐる法的紛争が当時クレジットへ影響した。安全な編集はLP記載を再現し、確認史と隠れた著作をめぐる主張を分けることだ。
本作で初期Columbia契約を完了。創設者5人が新スタジオ作で揃うのは1971年『20 Granite Creek』までない。
縮小したバンド
Bob Mooreのベースを軸に再構築された2本のギターとドラム
Lewisが最も明瞭な著作中心となる。5曲は循環的フォーク・ロック、Looperの旧来の活力、6分のNow I Know Highまで広がり、縮小編成の没個性化を防ぐ。
Millerのリード・ギターを囲む音は減った。ナッシュビル風ピッキング、電気的フィル、短い独奏が、Spenceの第3ギターでなくLewisのリズムと対照して色を定める。
Stevensonはリズムのエンジン兼歌唱相手。ギター担当も、3人で以前5人に分かれた編曲を覆う実務的柔軟性を示す。
MooreはMosleyの歌や独特なベースを模倣しない。安定した低音土台を与え、ギターと声にMoby Grapeらしさを築かせるセッション役だ。
Johnstonの編曲クレジットは重要で、明瞭さは各楽器の役割を素早く決めることに依存する。装飾的多重録音でなく演奏可能な形を優先する。
3人の和声が先行作との最も強い連続性。主唱の幅が狭まっても、混声の反復句が集団として応答する感覚を保つ。
Dell’Araの名は文書上の作曲図に属し、演奏編成ではない。歌唱や演奏参加と誤解させないよう区別する。
凝縮されたカントリー・ロック
カントリーのピッキング、凝縮した和声、飾らない室内音
乾いた近接編曲が中心。ギターは連続するサイケデリックな網でなく、ピッキング、和音形、簡潔なフィルとして聞こえる。
カントリー影響は衣装でなくリズムと発音に現れる。Changes, Circles SpinningとTruly Fine Citizenは軽いアコースティック運動、LooperとTreat Me Badは硬いロックの縁を保つ。
声が短期録音に欠けかねない温かさを与える。3声が転換を滑らかにし、短曲を完成品にする。
Beautiful Is Beautifulと二つのLove Songは平明な題名で旋律的直接性を探る。単純さは意図的で、Part 2は文字どおりの反復でなく感情角度を変える。
Right Before My EyesはLewisの簡潔な観察バラード、Open Up Your Heartは外向きな招きで応える。曲順が関係上の位置を分ける。
Now I Know Highだけが6分を越える。ギターとグルーヴへ展開空間を与え、Moby Grapeの長編スタジオ思考への唯一の接続となる。
Treat Me BadとTongue-TiedがB面後半へ鋭い摩擦を戻す。後者のMiller–Spence名義はSpenceをナッシュビル参加者にせず、以前の作曲史を持ち込む。
Mooreのベースが丸く安定した音を保つ。薄い音源ではアコースティック・デモに聞こえるが、十分な低域で意図的な均衡が分かる。
制作は凝った効果を避ける。判断速度を隠すものも奏者のタッチを曇らせるものも少なく、限界と美点が結ばれる。
全曲ガイド
かつての5者均衡を離れた11曲
Changes, Circles Spinning
Lewisは自らへ戻る運動像で開く。アコースティック・カントリーの動き、密接な和声、Millerの応答ギターがナッシュビル色を即座に定める。Going Nowhereより軽いが、どちらも循環運動を感情問題へ変える。
Looper
旧Lewis曲を軽量で硬く演奏。反復音型が題名を与え、縮小編成のタイミングを焦点にする。Mooreが土台を保ち、ギターのフィルと和声が経済性でも初期の切れ味を残せると示す。
Truly Fine Citizen
Dell’Ara名義の短く親愛な人物肖像。カントリーのピッキングと力の抜けた集団声が美徳の大主張を避け、序盤へ政治的命題でなく人間的象徴を置く。
Beautiful Is Beautiful
同語反復が、目の前にあるものを受け入れる旋律声明となる。混声とギターの発音へ運ばせる簡潔な編曲で、デビュー作の素早い機知と異なるが没個性的ではない。
Love Song
最初のLove Songが直接的な呼びかけと簡潔な旋律でA面を閉じる。終曲も同名だが位置が異なり、一つのマスターへ統合せず枠として聴くべきだ。
Right Before My Eyes
LewisがB面を、近距離で遅れて到着する認識から開く。穏やかなギター細部と抑えた歌が観察を遅いが明瞭にし、Dell’Ara名義3曲後へ内省声を戻す。
Open Up Your Heart
内向きの認識に外向きな招きが続く。3人の和声が命令へ温かさを与え、Mooreのベースが甘さを浮遊させない。社会的で即時的な役割だ。
Now I Know High
Lewisは最長時間で知識、高揚、不確実さをグルーヴ内に発展させる。ギターが節を飾るだけでなく応答できる。6分超の中心拡張が後の短曲を一層凝縮して感じさせる。
Treat Me Bad
気分が非難へ硬化する。締まった拍、荒いギター、直接的な声が前曲の漸進展開に代わり、2分半未満の攻撃で重量を作る。
Tongue-Tied
Miller–Spence名義で、話せない状態を素早いリズム緊張へ変える。著作は5人期へ遡るが、ナッシュビル演奏は縮小編成のもの。短い形式がためらいを身体化する。
Love Song, Part 2
終曲は緩くジャズ調の動きでLove Song題へ戻る。A面を反復せず枠を変え、変奏で終了。対が圧力下の録音へ意図的な外枠を与える。
変化する関係を描く11曲
円環、認識、愛、頼りない言葉
循環性は冒頭題、Looper、Love Songの帰還に現れ、反復が閉じ込め、学習、注意の更新のどれかを問い続ける。
認識が中盤を組織する。美は美として名指され、何かが眼前に現れ、心を開くよう求められる。
愛は一つの声明で尽きず二曲に分かれる。Part 2は間のB面経験後に関係が変化したことを示す。
Tongue-Tiedは発話失敗、Treat Me Badは忍耐が尽きた後の意思疎通を扱う。単なる一般的失恋ではない。
タイトル曲は広い市民計画でなく一人の善良さを通じて市民性を扱い、人間規模の編曲に合う。
Now I Know Highは知る瞬間を引き延ばして確信を複雑化する。持続が洞察を標語でなくバンドが保つ状態にする。
作曲名義には文書上の曖昧さがあるが、隠れた著作へのアクセスを主張せず発売曲から公的主題を論じられる。
コンセプト作ではない。反復する円、対になった愛の題、近い関係、一貫したナッシュビル演奏語法が統一を作る。
Columbia CS 9912
大がかりな演出を避けたColumbia期の終幕
Ron Coroがジャケット設計、Al Claytonが表裏写真を担当。余り物でなく独立したColumbia LPとして提示する。
CS 9912のジャケットはA面5曲、B面6曲。Love Song後の面替えによりPart 2は長距離の帰還となる。
法的紛争が名義へ影響したためラベルとジャケットのクレジットは歴史的に重要。版は再現し、説明文は慎重であるべきだ。
普通の人、直接の視線、個人的認識を扱う作品にジャケットの人物像が合い、サイケデリックな見世物を避ける。
ボーナス版は長く資料的に見せるが、原盤は約30分でLove Song, Part 2に終わる。
1969
1969年――初期Columbia最後のアルバム
Columbiaが1969年に第4スタジオ作かつ初期最後のColumbia LPとして発売。CS 9912、約30分の11曲。ナッシュビル制作とカントリー志向は前作の傾向を継ぐが、Mosley不在で歌とリズムの均衡は弱まった。
契約消化の急造作とされがちだ。短い録音とレーベル事情は重要だが、その説明だけではLewisの作曲、Mooreの役割、意図的な枠付けを見落とす。
Looper、Changes, Circles Spinning、タイトル曲が縮小編成の成功例として最も挙げられる。
控えめな商業成績と休止でカタログの脚注となったが、1967年再現の失敗でなく特定の3人+ベース奏者セッションとして聴くと歴史的価値が増す。
第4作
圧力下でも確かな音楽的個性を持つ作品
Lewis–Miller–Stevensonの3人とBob Mooreを中心にした唯一のスタジオ作で、個性は狭いがカタログ内で独自だ。
カントリー・ロック音は1969年のルーツ回帰と並ぶが、和声とMillerのギターでMoby Grapeと分かる。Lewisは最も明確な作者となり、内省小品から唯一の長編まで5曲のラベル名義を持つ。
Dell’Ara名義は複雑な出版史の一部。責任ある編集は紛争を認めるが、推測でラベルを改稿しない。
二つのLove Songは急造伝説以上の構造配慮を示す。配置がB面を視点変化として枠付けてから戻る。
1971年『20 Granite Creek』で元の5人が再会したため、本作は恒久的未来でなく縮小する1968~69年連鎖の終点。再発資料は再評価を促すが、原盤を膨らませ固有条件を隠してはならない。
圧力下で不均一でも音楽的に実在する作品として理解すべきだ。謝罪か切り捨てのどちらかにせず両立できる。
オリジナル構成
後年の付録より前にある原盤11曲
原盤は全11曲でLove Song, Part 2が終点。面替えはLove Song後。ベースはBob MooreでBob Mosleyは不在。Tongue-Tiedの作曲名義だけでSpenceを演奏者にしない。
Dell’Ara名を黙って置換せず当時ラベルを用いる。完成したバンド演奏として聴くには十分な低域が必要。Now I Know Highだけが6分超。
後年ボーナスはCS 9912曲順外。Johnstonの制作はRubinsonの先行作と別物。歌と和声が全編の中心で、器楽作と分類しない。
聴き方の道筋
状況を判断する前に3人組の簡潔さを聴く
- 冒頭2曲で、フォークとロックの形式に宿る循環性を聴く。
- タイトル曲、Beautiful Is Beautiful、Love SongをA面の直接性として追う。
- Right Before My EyesとOpen Up Your Heartを、認識と招きの対として聴く。
- Now I Know Highの長い中心部を余さず聴く。
- 最後の3曲を、対立、発話失敗、変形したLove Songへ進ませる。
調査経路
出典と参考資料
- 『Truly Fine Citizen』の曲目、参加者、批評 — AllMusic
- Columbia原盤の発売情報と全11曲の曲順 — MusicBrainz
- 原盤ラベルの作曲クレジット — 45cat所蔵資料
- 原盤パッケージと技術クレジット — Recordsale所蔵リスト
- Moby Grape公式ディスコグラフィー — MusicBrainz
- Moby Grapeのカタログと編成史 — AllMusic