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クラシック・アルバムガイド

A Farewell to Kings

Rush · 1977年 · プログレッシブ・ロック/ハード・ロック

Rushは馴染みのスタジオを離れ、アコースティックな音色、シンセサイザー、打楽器を広げる。6曲は社会への警告から不死の夢へ進み、最後にはCygnus X-1のブラックホールへ突入する。

1977年発売第5作全6曲
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作品

基本情報

アーティスト
Rush
発売
1977年9月
アルバム
スタジオ第5作
録音場所
Rockfield Studios, Wales
曲数
6曲
プロデューサー
Rush/Terry Brown

重要な理由

Rushの中期プログレッシブ期を開く作品

『A Farewell to Kings』が重要なのは、Rushが『2112』で勝ち取った自由を、より広い音楽言語へ変えたからだ。前作はA面全体を長い劇的設計へ託せると証明した。本作ではアコースティック・ギター、シンセサイザー、調律打楽器、環境音が、大作と短曲の双方の規模を変える。

本作は二つの方向を同時に確立する。「Xanadu」は幻想を単に重くせず、広く官能的に描き、「Closer to the Heart」は個人の責任を訴える言葉を3分未満へ凝縮する。対照が二つのRush像の競合でなく一つの自己像に属すため、どちらも長く公演曲として残った。

「Cygnus X-1」は結末を閉じず作品を終え、旅人をブラックホールへ送り、Book IIを『Hemispheres』へ残す。この決断が本作を真の移行点にする。6曲の流れは完結しているが、最後の数分が次のスタジオ作の応答を必要とする大きな建築を意図的に開く。

1977

Rockfieldで3週間、Advisionで2週間

『2112』をツアーし、その時期を『All the World's a Stage』に記録した後、RushはWalesのRockfield Studiosへ向かった。1977年6月に『A Farewell to Kings』を3週間で録音し、その後LondonのAdvision Studiosで2週間かけてミックスした。

移動が変えたのは景色だけではない。Rockfieldでは屋外や珍しい音響空間を使え、表題曲と「Xanadu」の鳥声はスタジオ近辺で録音された。RushとTerry Brownが制作し、Pat MoranとBrownが録音を担当。Advision作業には追加補佐が入った。

1977年9月発売の本作はRushのスタジオ第5作。『2112』と『Hemispheres』の間という位置は単なる年代順ではない。前者が芸術的独立を与え、本作が器楽/言葉の語彙を広げ、『Hemispheres』がそれをさらに密な片面規模の頂点へ運ぶ。

『Kings』の3人

3人が持ち運べる管弦楽団となる

Geddy Leeベース、12弦ギター、Minimoog、ベース・ペダル、歌唱
Alex Lifeson6弦/12弦のエレクトリックおよびアコースティック・ギター、クラシック・ギター、ベース・ペダル
Neil Peartドラム、オーケストラル・ベル、チューブラー・ベル、テンプル・ブロック、ウィンド・チャイム、打楽器
Terry Brown/Pat Moran共同制作/録音、Rockfield録音

作品の規模にはLeeの拡大した役割が不可欠だ。ベースと声が中心を保ちながら、Minimoogとペダル音がギター変化の下へ持続和声を置き、12弦ギターがもう一つのアコースティック層を加える。3人は常任の4人目を招かず横幅を作れる。

Lifesonはギターの種類と音域を作曲上の選択として扱う。表題曲はクラシックな繊細さで始まり、「Xanadu」は鳴り渡る12弦の空間と電気的な量塊を行き来する。「Cygnus X-1」の反復音型は奏法により機械的、飛翔的、破局的に響く。

Peartの打楽器一覧は珍品集でなく編曲システムを表す。ベル、ブロック、チャイム、金属的な色が境界と想像空間を示す。ドラム・キットはハードロックの権威を保つ一方、追加音色が、和声や詞の説明より先に移行を告げる。

サウンドと構築

ハードロックの重量を囲む空気、ベル、12弦

『A Farewell to Kings』には『2112』以上の空気がある。アコースティック弦、屋外の環境音、長い減衰が3人の周囲へ距離を作り、重い進入が恒常的な圧力でなく世界の変化に聞こえる。Rockfieldの環境自体が作曲の色となる。

表題曲がその拡張を直ちに示す。クラシック・ギターと録音した鳥声が開放感を作り、全員がより鋭い公共的な力で入る。親密さと規模が別々の面へ割り当てられず、同じ曲へ何度も共存する作品を準備する。

「Xanadu」は蓄積で長さを築く。辛抱強い導入が打楽器、ギター、シンセサイザーを広い場へ置き、物語が約束と代償へ近づくにつれ回帰リフが重量を増す。中心素材が戻る前に音色が変わるため、長編形式は探索的に響く。

短曲は異なる簡潔さを使う。「Closer to the Heart」は各楽器の進入を意味あるものにし、「Cinderella Man」は物語の推進と器楽の議論を交互に置き、「Madrigal」は穏やかな質感の中へリズム隊を浮かせる。簡潔さはまだ主方法ではないが、明快な声明に必要な素材の少なさを学びつつある。

「Cygnus X-1」は作品で最も暗く物理的な音をもたらす。ベースとシンセサイザーが機械と深度を示し、不規則な合奏音型が前進を不安定にし、最後の下降は安易な終止を拒む。Book IIが思想的な解決を与える前に、崖際の結末を音にする。

全曲ガイド

崩れた権威からブラックホールへ進む6曲

01

A Farewell to Kings

冒頭曲は社会の衰退を扱う。失敗した指導者、意図的に育てられた恐怖、抵抗の少ない道を受け入れる選択。Peartは幻想の筋でなく王権の像を使い、真実と責任を捨てた制度を見る。

形式は私的な省察から公の呼びかけへ進む。クラシック・ギターと鳥声が話者より大きな世界を確立し、バンドが切迫感とともに入り、反復される訴えが力を増す。編曲そのものが注意を向け直す行為を演じる。

02

Xanadu

「Xanadu」は不死を求め、終わらない存在が監禁になり得ると知る探求者を追う。Coleridgeの『Kubla Khan』に結びつく像が魔法的な舞台を与えるが、Rushは限界なく満たされる欲望への劇的警告へ作り替える。

長い器楽導入は旅の遅延でなく旅そのものだ。ベルと大気的ギターが距離を作り、ベース・ペダルが風景を深め、3人全員の到着が巨大に感じられる。その後の回帰は、探求の代償が明らかになるにつれ驚きを失う。

03

Closer to the Heart

PeartとPeter Talbotは社会変化の焦点を抽象的な支配者から作り手、芸術家、個人へ移す。より良い構造は、権威が自らを直すのを待たず、人が自ら作るものへ責任を負う時に始まると歌う。

簡潔な編曲は本作の決定的発見の一つ。アコースティック・ギターが考えを平明に示し、楽器が加わるたび規模が増し、終結が省察を共同の高揚へ変える。Rushは発想を平板にせず直接性へ到達した。

04

Cinderella Man

Geddy Lee作詞の「Cinderella Man」は、寛大さを周囲から愚かと見なされる理想主義者を描く。評判より行動を重んじ、哲学的宣言でなく人物素描の中へ道徳的確信を置く。

音楽は物語の見かけの単純さを試し続ける。確固たる歌唱区間がより動く器楽中央部へ譲り、ベースとギターが重心を交換した後、冒頭の直接性が戻る。人物像は説明でなく対照から明らかになる。

05

Madrigal

「Madrigal」は本作で最も短く親密な曲。表題曲の公共的危機と「Xanadu」の途方もない規模に対し、人々の間で静かに守られる感情的な避難所を想像する。

アコースティックな色とシンセサイザーの温かさが、曲を些末にせず3人の見かけの規模を縮める。「Cygnus X-1」直前の配置が重要だ。作品が最も危険な航海へ地球を離れる直前、小さな人間の避難所が聞こえる。

06

Cygnus X-1: Book One: The Voyage

終曲の大作は宇宙船RocinanteがCygnus X-1へ向かう姿を追う。観測が引力となり、引力が不可逆の下降となり、旅人は結果を説明されぬまま境界を越える。Book Oneは意図的に運命を宙吊りにした完全な航海だ。

編曲は規模を次第に不安定にする。語りの冒頭と低い電子的空気が対象を示し、ベース音型が機械運動を与え、断片化を増す合奏の打撃が確かな脈動を崩す。最後は結論を出すより、『Hemispheres』へ向け枠を引き裂く。

独立した六つの旅

権力、向上心、限界を越える旅

『A Farewell to Kings』は一つの連続物語ではない。6曲は限界と責任を巡る問いを共有する。社会は失敗した権威を許し、探求者は不死を追い、個人は制度を作り直そうとし、宇宙旅行者は知識の境界を越える。

向上心は約束と危険の双方を持つ。「Closer to the Heart」は目的ある行動を必要とし、「Xanadu」は欲望が監禁へ変わる姿を示し、「Cygnus X-1」は好奇心を消滅または変容へ押す。野心に反対せず、それを何が導くかを問う。

音楽と像には境界が繰り返す。アコースティックな導入は増幅された力へ渡り、静かな人間空間は巨大な想像風景と並び、終曲は観測からブラックホールそのものへ越境する。作品の統一性は筋でなく通過にある。

Hugh Symeのジャケット

近代産業の端にある崩れた玉座

Hugh Symeが美術監督とグラフィックを担い、ジャケット写真はYosh Inouye。袖は荒廃の中へ操り人形のような王を置き、崩れた儀式的舞台の向こうに工業的な形を見せる。それを支えた世界が空になった後も、権威は衣装として残る。

時代の衝突は、全曲を絵解きせず表題曲に合う。宮廷像、近代産業、目に見える荒廃が別れを曖昧にする。旧秩序は崩れつつあるが、向こうの機械が自動的に道徳的代替を与えるわけではない。

パッケージは『2112』の長命なStarmanを生んだ視覚的協働を続けるが、Symeは単一徽章を避ける。聴き手は空間、姿勢、背景を読まねばならず、それは親密な音響細部と遠い概念規模を往来する作品を映す。

発売史

短期間で米国ゴールドを得たRush初の作品

1977年9月発売の『A Farewell to Kings』はBillboardアルバム・チャート33位、英国22位に到達。Rush公式アーカイブによれば、発売2か月以内に米国ゴールド認定を得たバンド初の作品だった。

RIAAのゴールド認定日は1977年11月16日で、後にプラチナへ達した。商業成績は『2112』が一作限りの聴衆を生んだのではないと証明した。長編2曲、珍しい楽器編成、前作組曲を反復しない曲順にも聴き手はついてきた。

「Closer to the Heart」は最も簡潔な入口となり、「Xanadu」「Cygnus X-1」は3人の公演規模を示す長命な証拠となった。受容はその共存から理解すべきだ。本作は長編を脇役にせずRushの聴衆を広げた。

1977年以後

行き先が道標となった橋

本作はRushで最も集中したプログレッシブ連作を始める。拡大した楽器群、Walesの録音環境、大作と簡潔な形式の交互配置は『Hemispheres』へ直結し、「Closer to the Heart」は『Permanent Waves』が発展させる簡潔さを予告する。

「Xanadu」が代表的公演曲となったのは、複数作業を目に見せるからだ。ギター、ベース、ペダル、打楽器、声が管弦楽的効果を作りながら、明らかに3人の演奏として残る。スタジオの野心はスタジオ外でも生きられた。

「Cygnus X-1」の後世は異なる。変容の瞬間で終えることにより、本作全体を未完成にせず2枚を結ぶ。『Hemispheres』は旅人の運命へ神話と哲学で答え、SF的下降を理性と感情の論争へ変える。

どの版を選ぶか

スタジオ作とHammersmith記録

1977年オリジナル曲順表題曲のアコースティックな開始から、「Cygnus X-1」の未解決な下降まで全6曲。
2015年リマスター後の記念盤で中核アルバムとして使われたAbbey Roadリマスター。
2017年40周年記念版アルバム本編に1978年2月Hammersmith公演、再解釈、「Cygnus X-2 Eh」スタジオ未発表音源を追加。最大版はSteven Wilson 5.1ミックスも収録。

記念盤の追加物より先に原盤6曲を聞く。その形は規模の対照に依存する。二つの長編は離して置かれ、アコースティック/言語上の親密さを異なる度合いで持つ4曲に囲まれる。

40周年記念盤のHammersmith録音は、次のツアーで素材が舞台化された姿を記録する。3人がギター、シンセサイザー、ペダル、調律打楽器を、スタジオ曲の縮小版にせず再配分する様子を聞くうえで特に価値がある。

記念盤の未発表音源「Cygnus X-2 Eh」は終曲に関連する空間効果を分離し、最大構成のSteven Wilsonサラウンド・ミックスはRockfieldの横幅へ別の視点を与える。どちらも原ステレオ曲順の劇的順序を置き換えるべきではない。

聴き方の道筋

扉が開く順序を聞く

  1. 最初の一聴: 作品を曲順通り聞き、「Madrigal」から「Cygnus X-1」への移行を決定的な規模変化として扱う。
  2. 2回目: 表題曲から「Xanadu」「Closer to the Heart」「Madrigal」まで、アコースティック/12弦ギターを追う。
  3. 3回目: ベル、ブロック、チャイム、屋外の環境音を想像空間の標識として聞く。
  4. その後: そのまま『Hemispheres』へ進む。そこで「Cygnus X-1 Book II」が航海を思想の対立へ変える。

調査資料

出典と参考資料

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