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クラシック・アルバムガイド

The Final Cut

Pink Floyd · 1983年 · サイケデリック/プログレッシブ・ロック

深掘り作品
Roger Watersのソロ作品に近い性格をPink Floyd名義で示す、戦争の記憶に取り憑かれた陰鬱な一枚。
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アルバム概要

アーティストPink Floyd
アルバムThe Final Cut
発売年1983
主要ジャンルサイケデリック/プログレッシブ・ロック
RetroForgeガイド区分深掘り作品
ガイド階層ティアC
発売日1983年3月
UKチャート最高位1位
形式全12曲
コンセプトRoger Waters

このアルバムを聴く理由

このアルバムが重要な理由

『The Final Cut』はPink Floydで最も峻烈な反戦作品であり、Roger Watersがメンバーとして参加した最後のアルバムである。当初は『The Wall』関連素材を使い、仮題『Spare Bricks』として構想されたが、フォークランド/マルビナス紛争後に方向を転換。戦争の記憶、政治指導者、戦後の理想の放棄を問う作品となった。

音楽は意図的に親密でありながら、突然変化する。語りに近い静かな歌声や小さな器楽の細部を、オーケストラ、ギター、戦場音が遮ることがある。この極端なダイナミックレンジによって、公的な歴史は遠い論評でなく私的な記憶として感じられる。

テープが回る前

歴史的背景と録音

Pink Floyd公式史は、南大西洋の紛争が企画を転換させた出来事だったと記している。Watersはまた、本作を父親と戦争で亡くなった人々への追悼として構想した。

1983年3月に発売され、英国で2週にわたり1位を記録。Waters、James Guthrie、Michael Kamenが全12曲をプロデュースした。Pink Floydは本作のツアーを行っていない。

演奏者と制作

参加者と楽器

Roger Waters

歌、ベース、ギター、コンセプト

語り手の声、反戦の主張、そして作品のむき出しの感情的中心の大半を担う。

David Gilmour

ギター、歌

凝縮されたエレクトリック・ギターの解放を与え、Not Now Johnを歌う。

Nick Mason

ドラム、打楽器

映画的な強弱の中で抑制と突然の力を使い分ける。

Michael Kamen

ピアノ、オーケストレーション、プロデュース

親密な歌を金管、弦、劇的で大規模な移行へ結ぶ。

聴きどころ

サウンド

歌声は息遣いやためらいが露わになるほど近いことが多い。そこから編曲が突然視野を広げ、記憶と公的暴力を衝突させる。沈黙と微かな音も、編曲の能動的な一部である。

Gilmourのギターは選択的に現れるため、各ソロは持続する色彩でなく解放として働く。作品中最も力強いロック曲Not Now Johnが有効なのは、主として内向きな表面を破るからだ。

オリジナル曲順

全曲ガイド

01

The Post War Dream

放送の声と静かな問いから始まり、勝利後に放棄された約束への告発へ開いていく。

02

Your Possible Pasts

記憶と失われた可能性が、抑制した節からバンド全体の痛みへ進む。

03

One of the Few

短い教師の肖像が、制度的権威と解消されない戦争被害を結びつける。

04

The Hero's Return

退役軍人の内面の語りが、公的役割と私的トラウマの隔たりを露わにする。

05

The Gunner's Dream

ピアノとオーケストラが安全の幻想を築き、その脆さが曲に力を与える。

06

Paranoid Eyes

社交の場が、ありふれた会話と酒で恐れを覆い隠す。

07

Get Your Filthy Hands Off My Desert

短い管弦楽の爆発が、地政学的暴力を苦々しく直截に名指す。

08

The Fletcher Memorial Home

政治指導者をグロテスクな架空の施設へ置き、その結果によって裁く。

09

Southampton Dock

出発、儀式、繰り返される犠牲を、静かな移行場面へ圧縮する。

10

The Final Cut

表題曲は、恐れとつながろうとする試みをむき出しに語り、政治的被害を内面へ向ける。

11

Not Now John

硬いグルーヴと競合する声が、気晴らし、商業主義、疲弊した否認を攻撃する。

12

Two Suns in the Sunset

終幕は核による破壊を穏やかな動きで想像し、壊滅的な余韻を残す。

着想と空気

主題とコンセプト

戦争は戦闘後も、悲嘆、教育、政治、私的な恐れを通じて続く。本作は、実現しなかった戦後の夢と、暴力を再生産する指導者を対比する。

ジャケット

カヴァー・アートと提示

Watersが視覚コンセプトを考案し、Willie Christieが形にした。軍の略綬と追悼のイメージが、奉仕、犠牲、制度的記憶に近い装丁を保つ。

発売当時

発売と同時代の反響

厳しい調子で支援ツアーもなかったにもかかわらず、英国で2週1位となった事実は、当時の大きな到達を示す。

初版以後

評価と遺産

Waters最後のPink Floyd作品として、本作はグループ作であると同時に終着点でもある。狭く集中した作者性は歴史的事実であり、それが長所か限界かは批評的解釈に属する。

どの版を選ぶか

各版と試聴メモ

静かな箇所を保てる音量で、原盤全12曲の曲順を聴こう。劇的効果は、ささやきに近い音と突然の合奏の力との距離に依存する。

実践的な入口

おすすめの聴き方

入口まずThe Gunner's Dreamを聴く。
対比Southampton DockからNot Now Johnまで続けて聴く。
アルバム全体反復する戦争の記憶を捉えるため全曲順へ戻る。

調査経路

出典と参考資料

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