作品
基本情報
- アーティスト
- The Pretty Things
- 発売
- 1968年12月
- アルバム
- スタジオ第4作
- 原盤曲数
- 13曲
- 英国レーベル
- Columbia SX 6306 / SCX 6306
- プロデューサー
- Norman Smith
重要な理由
一枚のサイケデリックLPとして築かれた完全な生涯物語
『S.F. Sorrow』は13曲で単に同じ気分を反復しない。主人公は生まれ、工場で働き、恋に落ち、戦争へ行き、移住し、気球事故で伴侶を失い、Baron Saturdayの幻覚的な旅に身を委ね、孤立の中で終わる。
その連続性が各編曲の機能を変える。アコースティックな細部は幼年期を、軍楽的打楽器は戦争への物語移行を、逆回転ギターは損なわれた知覚を、孤独な終声は最後の社会的撤退を表せる。
企画はPhil Mayの短編『Cutting Up Sergeant Time』から育ち、当初は第一次大戦の兵士を中心としていた。Mayとグループは曲作りとともに物語を広げたため、音楽が完成済み台本を描くだけでなく人物と出来事を生んだ。
活動中の5人全員が異なる組み合わせで作曲クレジットを持つ。May、Dick Taylor、Wally Wallerがもっとも頻繁な核で、Jon PoveyとTwinkは特定の章に加わり、制作者Norman Smithは器楽曲『Well of Destiny』を共作する。
本作はドラマー交代も記録する。Skip Alanが脱退前に一部を完成させ、セッション中にTwinkが加入して仕上げを助けた。全ドラムを一人へ割り当てず、両者を参加者として示すべきである。
Norman SmithとエンジニアPeter Mewは、EMI Studiosの4トラック機材で異例に密な作業を可能にした。何度ものバウンス、効果、創作音色が、技術形式以上に大きな音を作る。
『S.F. Sorrow』は英国でThe Whoの『Tommy』より前に登場したが、「最初のロック・オペラ」などの呼称は定義に依存し、それ以前の物語作品も存在する。確実な成果は、物語、曲、印刷文を一つの発売物として設計した長編ロック物語を作ったことだ。
商業的失敗と後年の称賛は作品史から切り離せない。40分の集中を要する企画は英国サイケデリア末期に遅れて届き、概念を弱くしか宣伝されなかったが、徐々にグループの評価の中心となった。
EMI、1967~68年
編曲を外部に委ねた『Emotions』後、EMIで得た創作の自由
前作『Emotions』はグループが完全には統御できない管弦楽編曲に形作られた。1967年にEMIのColumbiaレーベルと契約後、より実験的な方向を許す条件で制作者Norman Smithと活動した。
1967年11月のシングル『Defecting Grey』が変化を告げた。『Bracelets of Fingers』はアルバム用に早くから発展した曲の一つで、『Talkin’ About the Good Times』『Walking Through My Dreams』は1968年2月のシングルへ回された。
アルバム制作は1967年末から1968年9月までEMI Studiosで続いた。大半はStudio Threeで行われ、『Well of Destiny』のみStudio Twoで録音された。
録音はEMIの4トラック方式を使用。重ね録りには複数回のリダクション・ミックスが必要で、最終的な密度は無制限のトラック数でなく計画された構築の成果である。
セッション中にSkip Alanが脱退しTwinkが加入。その他の演奏中核はPhil May、Dick Taylor、Wally Waller、Jon Poveyのままだった。
EMIは1968年12月、英国でColumbiaからモノSX 6306、ステレオSCX 6306として発売。原盤曲順は全13曲、40分弱。
米国盤はMotown傘下Rare Earthから1969年に続いた。この遅れは当時の米英作品と比較する際に重要である。
本作は英国でも米国でもチャート入りしなかった。Dick Taylorは『Sorrow』期後に脱退し、1960年代のPretty Thingsスタジオ作でリード・ギターを担当した最後の作品となった。
『Sorrow』の編成
5人の作曲家、2人のドラマー、Norman Smithとのスタジオ協働
Mayは若者、兵士、遺族、告発者のように変化する声で、主人公と語り手を兼ねる。物語が順序を与える一方、演奏はSorrowを中立的な文学上の人物にしない。
Taylorのギターはサイケデリックな構築の中にもR&Bの摩擦を残す。『Balloon Burning』『Old Man Going』では歪んだ金属的な質感が破局と怒りへ物理的な力を与える。
Wallerはベース、ギター、鍵盤、管楽器、ハーモニー声部を行き来する。5人で工場、戦場、都市、儀式、内面崩壊の世界を生むには、その柔軟性が不可欠である。
Poveyのオルガン、Mellotron、シタールは、全場面を同じ異国趣味にせず和声の幅を広げる。夢、儀式、疎外を特定の地点で区別する。
AlanとTwinkを交換可能としてはならない。作品は人員交代をまたぎ、変化する打楽器言語も長い制作期間の一部である。
Twinkは『She Says Good Morning』『Death』『The Journey』『Well of Destiny』『Old Man Going』『Loneliest Person』の作曲欄にも入る。役割はリズムだけでなく作曲にも及ぶ。
Smithの貢献は通常の監督を超える。音響実験を支え、蓄積するオーヴァーダブを形作り、短い『Well of Destiny』では共作者となる。
Mewの録音技術と4トラックの作業工程は実務的制限を美学的密度へ変えた。効果、重ねた声、楽器の混成は、それらを中心に移行が作曲されるため意図的に響く。
物語サイケデリア
アコースティックな誕生から金属的な終焉までの4トラック密度
『S.F. Sorrow Is Born』はアコースティックな動きで始まり、家族と工業の場所を詳しく語る全合奏へ開く。作品は見世物でなく伝記として始まる。
『Bracelets of Fingers』はシタール、声、循環するリズムで幼年の想像を具現化する。明るさはすでに不安定で、安心より感覚を通じた逃避を示唆する。
『She Says Good Morning』は恋愛の接触を鋭い電気的な曲へ変える。反復する挨拶が圧力を帯び、ポップなハーモニーとギターの攻撃の間を動く。
『Private Sorrow』は軍楽リズムとより公的な物語規模を導入する。私人は兵士となり、その名と悲しみが組織された戦争へ吸収される。
『Balloon Burning』は容赦ない前進運動で構築される。ギターとドラムが安全な距離から報告せず、事故をリアルタイムで起こす。
『Death』は通常の歌曲の安堵を捨てる。打楽器、構築音色、儀式的反復が、死別を後半の変性現実への敷居にする。
『Baron Saturday』は人物歌、劇的な声、急なスタジオ変化を組み合わせる。Baronは自己紹介するだけでなく、Sorrowとともに聴き手を不安定にする。
『The Journey』『I See You』は鏡、飛行、認識を通る。重なる声と効果が視点をずらし、安定した語り手の位置を見つけにくくする。
『Well of Destiny』は儀式的移行を2分未満へ圧縮する。短い器楽機能により、物語は通常の独立曲のために停止しない。
『Trust』は助言らしきものを差し出すが、操作の後に到着する。ハーモニーは招きと疑いを同時に響かせ、導きを安全に評価できなくなった主人公に合う。
『Old Man Going』はより強い苦味とともに硬い攻撃を戻す。声とギターが年齢と社会的見捨てを、諦めた省察でなく告発へ変える。
『Loneliest Person』は蓄積したスタジオ構築を取り去る。最後のアコースティック演奏は、どのサイケデリック効果より孤立を小さく、近く、最終的に響かせる。
全曲ガイド
Sebastian Sorrowの崩壊を描く13章
S.F. Sorrow Is Born
Sebastianは星のない空の下、ありふれた工場町へ生まれる。アコースティック・ギターと測られた語りが家族と場所を定め、後に全合奏が場面を広げる。誕生時から工業的拘束があり、両親を規定した仕組みの中で人生が始まる。
Bracelets of Fingers
幼年の想像力はシタール、周回するリズム、重なる声で音になる。腕輪は感覚と驚きを示すが、編曲の反復は逃避を脆くする。工場と戦争に時間を奪われる前、Sebastianへ内面世界を与える章である。
She Says Good Morning
隣家の少女は、バンドが電気的な勢いへ変える挨拶とともに入る。ポップ・ハーモニー、声の執拗さ、ギターの圧力が、魅力を牧歌でなく即時的にする。公的出来事が遮る直前、関係はSorrowへ未来を与える。
Private Sorrow
戦争はSebastianの称号と音楽の組織をともに変える。行進リズムと管楽器の色が軍の秩序へ置き、「private」の語呂が階級の下に個人的悲嘆を残す。最初の3曲が開いた人生を義務が狭める。
Balloon Burning
戦後、Sebastianの伴侶は気球で彼のもとへ向かうが爆発する。反復ギターと切迫したドラムが、考える間もなく期待を破局へ変える。動きは不可逆となり、再会は到着の瞬間に破壊される。
Death
A面は通常のロック形式を越えて終わる。儀式的打楽器、声、構築された弦のような音色が物語時間を停止し、行為に悲嘆が取って代わる。死は少女の運命であり、Sebastianが暗い心理的後半へ入る条件でもある。
Baron Saturday
外套を着た案内人がNew YorkのSorrowへ近づき、幻覚的な旅を始める。人物声、急な変化、芝居がかったリズムがBaronを魅力的だが危険にする。悲嘆の中へ動きを与えながら、Sebastianの視界を支配する。
The Journey
Sebastianは都市上空と鏡の回廊を運ばれる。目的地でなく移動なので編曲は素早く進み、効果と変化する視点が記憶を断片へ変える。安定した啓示を与えず物語を進める。
I See You
鏡の旅の後、認識は不安定となる。重なる声は親密、告発的、自己指向的にも響き、見ることが真実を保証しない。目の主題を現在の自己と失われた人生の対決へ変える。
Well of Destiny
BaronはSmithも関与した短い器楽曲でSebastianを儀式の場へ連れる。打楽器とスタジオ質感が敷居を示し、変化を歌詞で説明できるふりをしない。視覚から信仰の試みへ運ぶ建築的機能を持つ。
Trust
信仰の言葉はSebastianがもっとも評価できない時に現れる。温かな声の混合と直接的な旋律は安心を与えるが、物語上の位置がそれを曖昧にする。信頼は望まれ、命じられ、疑われる。
Old Man Going
老いた幻滅が作品でもっとも重いギターと強い声の攻撃で噴出する。Sebastianは救いようのない社会を見て、孤立を裁きとして外へ向ける。老年を単純な時間経過でなく、心的外傷が生む感情状態にする。
Loneliest Person
終曲は世界をアコースティック・ギターと露出した声へ縮める。Baronも群衆も精巧な効果も残らない。制度と幻視に満ちた物語の後、最後の事実は約束されたあらゆるつながりから切り離された一人である。
Sebastianの生涯
労働、戦争、悲嘆、偽りの啓示、孤独
工業生活がSebastianの始まりを囲む。工場町は背景装飾でなく、受け継いだ労働、疲弊した繁栄、想像力の狭まりを定める。
戦争は個人名を軍の階級へ変える。作品は二重の意味を働かせ続け、個人的悲嘆と公的暴力を分離できなくする。
愛は工場循環からの出発を示すが、『Balloon Burning』は近代交通によって再会を破壊する。技術は距離の克服を約束し、喪失をもたらす。
Baron Saturdayは危険な導きを体現する。麻痺したSebastianへ動きを与える一方、視界を支配し苦痛な幻を課す。
目、鏡、見ることがB面で反復する。知識は歪んだ表面を通って届き、啓示を心理的に高価で認識論的に不確かなものにする。
信頼は安易な治療として提示されない。強制された幻視の後に置かれるため、その言葉は必要であると同時にほぼ不可能となる。
『Old Man Going』の年齢は身体的だけでなく精神的、社会的である。正確な経過年数がなくても、経験によりSebastianは老いる。
アコースティックな終幕は超越を拒む。サイケデリックな旅は主人公を癒さず、根源的な孤独で終わる。
物語の暗さは音楽の多様性と均衡するが、それは逃避的な装飾ではない。新しい音の一つ一つが、仕事、愛、戦争、死、信仰とのSebastianの関係の段階を示す。
Columbia SX / SCX 6306
Mayの物語と設計が装丁を作品の一部にする
Phil Mayが原盤装丁を設計し、Dick Taylorが写真を担当した。その視覚的役割は、外部デザイン企画でなく演奏者自身の構想だったことを補強する。
ゲートフォールドには13曲を結ぶ物語文が印刷された。それを読むことで、曖昧な歌詞断片はSebastianの人生の一場面となる。
英国モノSX 6306とステレオSCX 6306は同じ曲順を異なるミックスで示す。後年再発はステレオを前面に出すことが多いため版の識別が重要である。
『Death』後の面分けは劇的な蝶番だ。A面は伝記と破局、B面はBaron Saturdayが心理的下降を始める。
1969年の米国Rare Earth盤は英国発売後に別市場へ作品を運んだ。その版を根拠に原盤年を変えてはならない。
1968年12月
遅れた1968年英国発売と後発の米国盤
EMIのColumbiaレーベルは長い録音期間と遅れを経て、1968年12月に英国で『S.F. Sorrow』を発売した。
本作はチャート入りしなかった。商業的な提示は連続物語を強く伝えず、買い手が40分の物語として接する可能性を弱めた。
Rare Earthは1969年に米国発売。遅れた米国盤により、その市場では他の著名なサイケデリック/物語作品より後に位置づけられた。
当時の反応は割れた。英国批評は演奏力を評価することもあったが、後の米国Rolling Stone評は構想と歌詞へ激しく否定的だった。
精巧なオーヴァーダブは即時の舞台再現も困難にした。グループは通常の支援ツアーで物語を定着させなかった。
後年の批評は大きく変わり、英国サイケデリアの重要作、連続ロック物語の主要例として次第に扱われるようになった。
第4作
単純な「最初」主張に頼らないロック・オペラの画期
13曲と印刷物語が一人の主人公の完全な生涯を『Tommy』以前に追うため、『S.F. Sorrow』はロック・オペラ史で常に論じられる。
本作が『Tommy』へ直接影響したという主張には異論がある。確実に比較できるのは年代と形式で、証明できない影響関係ではない。
本作はスタジオ・サイケデリア内に粗いR&Bの個性を保存する。Taylorのギターが匿名の装飾へ磨かれていないため、『Balloon Burning』『Old Man Going』は危険に響く。
物語はこの形式として異例に悲観的である。Sebastianは敵を倒さず、共同体の救済を見つけず、苦痛を名声へ変えず、一人で終わる。
1998年Abbey Road公演は後に『Resurrection』として発売され、Arthur Brownの語りとDavid Gilmourのギターを加え全編を初めて舞台化した。後年CDの同時期シングルは周辺の実験を示すが、Sebastianの13章へ挿入してはならない。
現代のモノ/ステレオ再発は同じ構築内の異なる均衡を聴かせる。どちらも物語の曲順や原盤の面分けを変えない。
長期的な力は物語と音色の結合にある。筋書きの事実は重要だが、悲嘆、戦争、幻覚を異なる音楽環境として組織したため作品は残る。
オリジナル構成
同時期シングルとライヴ再構築を加える前の原盤13曲
原盤は全13曲、『Loneliest Person』で終わる。面分けは『Death』後で、『Baron Saturday』がB面を始める。英国モノ/ステレオ盤はいずれも1968年、米国Rare Earth盤は1969年に登場した。
『Defecting Grey』『Mr. Evasion』『Talkin’ About the Good Times』『Walking Through My Dreams』は後年版に加えられた同時期シングルで、物語の章ではない。長いセッションを通じSkip AlanとTwinkの双方がドラムを担当。『Resurrection』は後年のライヴ再構築で、1968年スタジオ盤にない語りを含む。印刷物語は有用な文脈だが、各曲は独自の劇的機能も保つ。
聴き方の道筋
物語を追い、スタジオが意味をどう変えるか聴く
- 短い物語概要を一度読み、『S.F. Sorrow Is Born』から工場、恋愛までの流れを途切れず追う。
- 『Private Sorrow』『Balloon Burning』『Death』を、公的義務から私的破局への連続運動として聴く。
- 面分けを守る。『Death』の儀式的停止後、『Baron Saturday』を新しい作用者の登場として感じる。
- 『Baron Saturday』『The Journey』『I See You』を通じ目と鏡を追い、『Well of Destiny』へ至る。
- 『Trust』の見かけの温かさと『Old Man Going』の攻撃を比べ、後者で約束された再生の失敗を知る。
- ボーナス・シングルをすぐ続けず、作品と同じ音量の『Loneliest Person』で終える。
- 原盤後にモノ/ステレオ版または1998年のライヴ再構築を比較し、異なる目的を混同しない。
調査資料
出典と参考資料
- 『S.F. Sorrow』作品情報、クレジット、レビュー — AllMusic
- 原盤曲順とColumbia版 — 45catアーカイヴ記録
- 曲別作者と版の記録 — MusicBrainz
- 現行の全13曲構成 — Spotify
- The Pretty Thingsのカタログ史 — AllMusic
- 『S.F. Sorrow』の発売史と遺産 — Louder/Prog