作品概要
基本情報
- クレジット上のアーティスト
- The Electric Prunes
- 発売
- 1968年1月
- アルバム
- スタジオ第3作
- オリジナル収録曲
- 6楽章
- レーベル
- Reprise R / RS 6275
- 作曲・編曲
- David Axelrod
重要である理由
バンド名と外部作曲家の完全設計が出会う
『Mass in F Minor』は『Underground』の自作中心のガレージ・サイケ路線を離れ、David Axelrodが全編を作曲・編曲した6部構成の宗教作品へ進みます。各楽章はミサ通常文の順序、Kyrie、Gloria、Credo、Sanctus、Benedictus、Agnus Deiに従います。
「Kyrie」の歌詞はギリシャ語で、残る楽章はラテン語です。作品全体をラテン語と説明すると、冒頭楽章の言語上の違いが失われます。
初期The Electric PrunesはAxelrodの難しい編曲に挑み、時間的な圧力で録音方式が変わる前に、グループとして最初の3楽章を完成させました。James Loweのリード歌唱、Mark Tulinのベースとオルガン、Michael Weakleyのドラムは作品全体を通じて続き、Ken Williams、Mike Gannon、Richie Podolorは範囲の限られた役割でギターを担当します。カナダのThe Collectorsとほかのスタジオ奏者が完成を助けたため、本作は初期バンドだけの録音でも、匿名のセッション作品だけでもありません。
合唱、典礼文、オルガン、ホーン、管弦楽の色彩により、ファズ・ギターは最初の2作で占めた主導的位置ではなく、構造を支える役割へ移ります。本作が重要なのは、中心的な緊張が音として聞こえるからです。Axelrodの野心的な全体形式は、自主性を奪われつつある名義上のバンドに依存しています。
Los Angeles、1967年後半
『Underground』の後、主導権はAxelrodへ移る
『Underground』ではLowe、Tulin、グループの裁量が増えましたが、米国アルバム・チャートでの最高位は控えめでした。マネージャーLenny Poncherが次作へAxelrodを招き、Dave Hassingerは引き続きプロデューサーとしてクレジットされました。Axelrodはミサ通常文のロック版を書き、編曲し、指揮も担当。The Electric Prunesは1967年後半に録音を始めましたが、限られた日程の中ですべての複雑なパートを習得できませんでした。
Hassingerは録音を完成させるためThe Collectorsとスタジオ奏者を起用しました。Repriseは1968年1月、『Mass in F Minor』をモノラルR 6275とステレオRS 6275で発売。Billboardでは『Underground』を上回る135位に達しましたが、Hot 100入りするシングルは生まれませんでした。同年後半の『Release of an Oath』では、初期Prunesは録音参加者から完全に姿を消します。
複合編成による録音
Prunes、The Collectors、セッション奏者による完成
Axelrodは作品の順序、和声、器楽規模、合唱とロック・アンサンブルの関係を決定します。Hassingerの制作権限には、日程がバンドの能力を超えた際に追加奏者を投入する判断も含まれます。Loweは、もはやグループの作家から生まれたものではない歌詞に、声の連続性を与えます。TulinとWeakleyはThe Electric Prunesの名義と完成した全6楽章を結ぶ、最も強い器楽上の連続線です。
Williamsのギターはなお聞き分けられますが、作品のサイケデリックな色彩を生む唯一の源ではありません。Gannonは初期バンドによる試みに参加しましたが、証拠なしに完成版の全区間へ役割を広げてはいけません。PodolorのギターとThe Collectorsの参加により、瞬間ごとの演奏帰属はジャケット表記が示す以上に複雑です。複合編成を見えなくしてはなりません。本作を純粋なPrunes作品か、純粋なAxelrodのセッション作品のどちらかへ単純化すると、別の歴史的誤りになります。
サイケデリックな典礼
ミサ通常文、合唱、オルガン、サイケデリック・ギター
「Kyrie Eleison」は断続する力、合唱の嘆願、トレモロ・ギターで始まり、儀式的な重さと増幅された圧力の間を急激に切り替えます。「Gloria」はオルガン、合唱、ギター主導の長い中央部によって賛美を拡張。「Credo」は反復と密度の高い終盤で信仰告白を積み重ね、A面を閉じます。B面冒頭の「Sanctus」は、より短く凝縮された歓呼です。
「Benedictus」はゆるやかな歌と器楽の高まりの中で祝福を展開します。「Agnus Dei」は通常のロック的終幕ではなく、嘆願、下降する重み、解放の探求によってミサ通常文を閉じます。6楽章は合唱の音色と典礼の出典を共有しながら、声、オルガン、ギター、管弦楽的色彩の配分をそれぞれ変えます。Axelrodの編曲は、形式化された聖なる反復を、歪み、シンコペーションするドラム、持続する電気音へ繰り返し対置します。
全曲ガイド
片面3楽章ずつ並ぶ全6楽章の典礼
Kyrie Eleison
慈悲を求めるギリシャ語の祈りが、合唱、断続リズム、Williamsと結びつくトレモロ・ギターによって入ります。Axelrodはこの楽章を儀式的かつ不安定にし、反復語を構造へ変える一方、電気的な割り込みによって受動的な崇敬を許しません。
Gloria
賛美はオリジナル盤A面で最も広い時間を与えられます。オルガンと合唱が典礼の枠を築いた後、歪んだギターが自由な中央空間を開きます。楽章の長さにより、聖なる宣言とサイケデリックな解放は完全に和解しないまま共存します。
Credo
信仰告白は声の宣言を積み上げ、次第に密度を増すアンサンブルの応答でA面を閉じます。ベースとドラムが信仰に身体的な連続性を与え、Axelrodの編曲は反復される言葉を持続する構造上の境界へ変えます。
Sanctus
B面は最短の楽章で始まります。合唱による聖性は、オルガン、声、ロックのアクセントによる鋭い応酬へ圧縮され、「Credo」の長大さをそのまま引き継ぐのではなく、注意をリセットします。
Benedictus
祝福はより広い空間と、器楽の強度が徐々に増す中で展開します。ギターとオルガンは合唱に取って代わらず、その周囲を動くため、到達はヴァース/コーラスの頂点ではなく行列のように感じられます。
Agnus Dei
慈悲と平和を求める最後の祈りが、6部構成のミサ通常文を閉じます。Axelrodはガレージ・シングルの形式へ戻らず、重み、反復、解放を組み立てます。アルバムはバンドのアンコールではなく、儀式の終結として終わります。
ミサ通常文
嘆願、賛美、信仰、聖性、祝福、平和
コンセプトは架空の物語ではなく、ミサ通常文から採られた完全な連続体です。「Kyrie」の慈悲が「Gloria」の賛美と「Credo」の信仰告白に先立ちます。「Sanctus」と「Benedictus」は聖性から祝福へ進み、「Agnus Dei」は勝利ではなく嘆願と平和で終わります。
ギリシャ語とラテン語が歴史的・典礼的な距離を生む一方、電気楽器は1968年という現在性を押し出します。反復は原典の文にもAxelrodの作曲法にも属します。参加者の交代によって録音過程が断片化しても、宗教的な枠組みは一貫しています。本作が明言しない世俗的主題は権威です。教会形式、作曲家、プロデューサー、バンドの名義が、同じ6楽章の内部で競い合います。
Reprise 6275
Reprise 6275が示す連続性を、実際のセッションが複雑にする
Repriseは本作をモノラルR 6275とステレオRS 6275で発売しました。Ed Thrasherがパッケージを監督し、Stan Cornynは大聖堂の距離感と同時代の都市リズムを対比するジャケット解説を書きました。裏面写真はThe Electric Prunesの連続性を示しますが、セッション参加者Mike Gannonではなく、すでに脱退したギタリストJames Spagnolaの姿が使われています。
そのため表面のクレジットは安定したバンドを名乗る一方、裏面写真と実際のセッションはより複雑な事情を物語ります。片面3楽章ずつの構成は典礼順を守り、「Credo」と「Agnus Dei」がそれぞれの面を閉じます。
1968年1月
1968年1月:順位は上昇、亀裂は深化
『Mass in F Minor』は1968年1月、The Electric Prunes名義の第3作として発表されました。Billboardで135位に達し、『Underground』の最高172位を上回りましたが、収録曲から第1作のシングルのようなHot 100ヒットは生まれませんでした。
グループにとってAxelrodの作品は再現が難しく、本作は美学上の転換であると同時に、実務上の断絶にもなりました。後年の反応も、形式同士の衝突を称賛する見方と、バンドが主導権を失ったことへの批判に分かれます。「Kyrie Eleison」は後に映画『Easy Rider』で使われ、はるかに広い映画観客へ届きました。
第3作
「Kyrie」、『Easy Rider』、Axelrod作品のその後
「Kyrie Eleison」は『Easy Rider』本編とサウンドトラックへの登場によって、本作から長く残る代表的抜粋となりました。本作は『Release of an Oath』や、後の『Messiah』解釈へ続くAxelrodの大規模な宗教ロック作品群の出発点です。ドラム、厚い合唱、管弦楽とサイケデリアの質感は、後にサンプリングを用いるプロデューサーからAxelrodが重視される一因となりました。ただし初期バンドが押しのけられた事実を消して、本作を称賛してはいけません。
同時に、その交代によって録音全体におけるLowe、Tulin、Weakleyの資料で確認された参加を消してもいけません。6部形式は、全12曲の『Underground』とも、複数の典礼を交ぜた全7部の次作とも明確に異なります。歴史的価値は衝突にあります。宗教形式、商業的なバンド名、スタジオの日程、サイケデリックな野心が、きれいに解決しないまま出会うのです。この未解決の作者性は周辺的な豆知識ではなく、作品を正確に聴くための中心事項です。
オリジナル収録構成
無関係なボーナス2曲の前にある全6楽章
オリジナル・アルバムは8曲ではなく全6曲です。「Credo」がA面を、「Agnus Dei」がB面を閉じます。「Hey Mr. President」は後年のボーナスで、ミサの一部ではありません。「Flowing Smoothly」も本来のコンセプト外です。
「Kyrie」はギリシャ語で、残る通常文はラテン語です。オリジナルの全6楽章はAxelrodが作曲・編曲しました。演奏クレジットには初期Prunesと外部奏者が混在します。RhinoとAppleの全6曲構成が、オリジナルの境界を最も明瞭に保っています。
聴き進め方
ミサ通常文と参加者の変化を一緒に聴く
- 嘆願とギター・トレモロが衝突する「Kyrie」から始める。
- 「Gloria」中央部の拡張を、十分な規模のまま受け止める。
- 「Credo」をオリジナル盤A面の終結として聴く。
- 凝縮された「Sanctus」の前で気持ちを切り替える。
- 「Benedictus」から「Agnus Dei」の最後の祈りへ進む。
- 6部構成のミサ通常文が終わったところで止める。
- 一般的なボーナス2曲は、後年編成による付録として扱う。
調査資料
出典と参考資料
- 『Mass in F Minor』公式周年史 — Rhino
- Warner公式の全6曲構成 — Rhino
- Warnerによる全6楽章のデジタル記録 — Apple Music
- 収録曲、拡張版の境界、アルバム評 — AllMusic
- オリジナル構成、参加者調査、パッケージ・クレジット — Electric Prunes archive
- 公的機関によるリリース記録 — MusicBrainz
- The Electric PrunesのカタログとAxelrod期の歴史 — AllMusic