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クラシック・アルバムガイド

Drama

Yes · 1980 · Progressive Rock

深掘り作品
Trevor HornとGeoff Downesを迎えた編成は、Anderson時代の型から外れながらも紛れもなくYesらしい、力強く異色のアルバムを生み出した。
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アルバム概要

アーティストYes
アルバムDrama
発売年1980
主要ジャンルプログレッシヴ・ロック
RetroForgeガイド区分深掘り作品
ガイド階層ティアC
発売日18 August 1980
オリジナル・レーベルAtlantic
UKチャート最高位2位
producerTrevor Horn and Yes

このアルバムを聴く理由

このアルバムが重要な理由

『Drama』は、Yesがサウンドの中心人物を交代させても存続できることを証明した作品だ。Jon Andersonに代わってTrevor Hornが歌い、Rick Wakemanに代わってGeoff Downesが鍵盤を担当し、Steve Howe、Chris Squire、Alan Whiteと合流した。The Bugglesの変名作でも、従来路線の惰性的な続編でもない。デジタル時代を予感させる鍵盤の色彩と、既存メンバーの重厚で精密な演奏がぶつかり合う、硬質で凝縮されたYes作品である。

本作の重要性は、移行期そのものが音になっている点にある。『Machine Messiah』は長編曲ならではの規模を保ち、『Into the Lens』と『Tempus Fugit』は鋭い反復と短いフックを生かす。緊密な合奏を手放すことなく、1980年代の制作感覚へ踏み出した。

テープが回る前

歴史的背景と録音

AndersonとWakemanは1980年初頭に脱退した。すでにツアーを控えていたバンドへHornとDownesが加わり、新たな5人編成は急速に制作を進めた。全6曲は5人の共作とされ、HornはYesと共同でプロデュースも担った。

Hornがリード歌手を務めた唯一のYesのスタジオ作である。Downesは後に『Fly from Here』で復帰するが、2人が同時に在籍したこの編成は恒久的な後任体制ではなく、この1作だけの独自な顔合わせだった。

演奏者と制作

参加者と楽器

Trevor Horn

Lead vocals and bass

切迫感のある引き締まった歌声と、音の重なりの細部まで見渡すプロデューサーらしい感覚を持ち込んだ。

Geoff Downes

キーボード

Adds clipped synthesiser figures, orchestral colour and modern studio texture.

Steve Howe

ギター、歌

Balances metallic rhythm work with acoustic and melodic detail.

Chris Squire

ベース、歌

Keeps the music recognisably Yes through an unusually forceful low end.

Alan White

ドラム

Gives the new arrangements a direct, muscular pulse.

聴きどころ

サウンド

音作りは密度が高い一方で、各パートの輪郭は鮮明だ。ベース、ギター、ドラムが一つの塊として動き、鍵盤が鋭い閃きと持続する背景音を添える。Hornの声は合奏の上に浮かぶのではなく内部へ組み込まれ、Anderson時代とは異なる感情の均衡を生んでいる。

長編曲は交響的に途切れなく展開するのではなく、短い音型の反復から組み上げられる。そのため『Machine Messiah』と『Into the Lens』には建築的な感触があり、各部分は重みを変えながら回帰し、細かな録音上の仕掛けが構成の目印となる。

オリジナル曲順

全曲ガイド

01

Machine Messiah

反復するギターの音型が、対照的な歌と鍵盤の場面をつなぎ留める重厚な長編の幕開け。牧歌的な解放ではなく、音を積み重ねることで壮大さを生む。

02

White Car

声と電子音の色彩で描く小品。短さゆえに冒頭曲の余韻をいったん一掃し、本作の現代的な音作りを明確に示す。

03

Does It Really Happen?

Squireのベースが、推進力に満ちた部分と宙づりのような歌の場面を交互に進める、緊張感ある合奏曲。

04

Into the Lens

短いフレーズの反復を最大の劇的装置にした曲。幾重もの声と鍵盤が、機械的でありながら人間味のある感触を作る。

05

Run Through the Light

明るい表面の下にリズムの不穏さと緻密なコーラス構成を保った、比較的親しみやすい曲。

06

Tempus Fugit

この編成で最も速く簡潔な宣言。ベース、ギター、歯切れのよい歌が勢いを束ね、アルバムの結論を突きつける。

着想と空気

主題とコンセプト

技術、時間、自己認識という題材が、一つの物語にまとまらず繰り返し現れる。機械を思わせる言葉に生身の合奏が応答し、未来予測というより新旧の道具の対決を描く。

発売当時

発売と同時代の反響

Atlanticから1980年8月18日に発売。英国では2位に達し、8週間チャートに残った。大幅なメンバー交代でも聴衆を失わなかったことを示す確かな結果である。

初版以後

評価と遺産

現在の『Drama』はYesの作品史をつなぐ蝶番のような存在だ。一時的な編成ながら、硬質な攻めと録音の精密さは後年の再変革を予告し、複雑な構成へ挑む意欲も守り抜いた。

どの版を選ぶか

各版と試聴メモ

オリジナルの全6曲を曲順どおりに聴きたい。『Machine Messiah』が作品の規模を定め、『White Car』が意図的に流れを断ち、『Tempus Fugit』では新編成の速さと明快さが最も鮮やかに伝わる。

実践的な入口

おすすめの聴き方

入口Start with Tempus Fugit for the lineup in concentrated form.
Full scaleThen hear Machine Messiah without interruption.
背景Compare Going for the One and 90125 to hear the different eras on either side.

調査記録

出典と参考資料

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