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クラシック・アルバムガイド

Ship of Memories

Focus · 1976年 · プログレッシブ・ロック

Mike Vernonが1970〜1975年の未発表録音から編んだ『Ship of Memories』は、一つのセッション、編成、創作計画ではなく、慎重な曲順によってまとまりを得たFocusのアーカイヴ・アルバムです。

1976年発売全9曲のオリジナルLPアーカイヴ編集盤
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作品概要

基本情報

アーティスト
Focus
発売
1976
種別
アーカイヴ編集盤
オリジナル収録曲
9曲
主要セッション
Chipping Norton、1973年5月
編纂者
Mike Vernon

重要である理由

中止されたアルバムとAkkerman期の両端が音になる

『Ship of Memories』が重要なのは、Focusが1973年5月に放棄したスタジオ企画を保存しているからです。「P's March」「Can't Believe My Eyes」「Focus V」「Out of Vesuvius」「Glider」、短い表題断片は、『Focus 3』と『Hamburger Concerto』の間に行われたChipping Norton期の録音です。

本作は『Mother Focus』に続いて新録されたアルバムではありません。Focusの活動休止中、Hubert Terheggenが元プロデューサーMike Vernonへ未発表素材の選定を依頼し、メンバーは発売盤の編集に参加しませんでした。したがって本作はアーカイヴとして読む必要があります。

Vernonの曲順は1973年の外へも及びます。「Spoke the Lord Creator」は1970年1月の初代4人編成、「Red Sky at Night」と「Crackers」はvan LeerとAkkermanの協力関係が終わりに近づいた1975年5月の録音です。三つのリズム隊と複数の制作思想が共存します。

この広がりが本作を異例に有用なものにします。後に『Hamburger Concerto』組曲へ変形する初期素材、放棄された長形式の方向、『Mother Focus』の原型、Akkerman脱退前最後のセッションを含みます。

1970–76

活動休止期に編まれた6年分の録音

『Focus 3』の商業的上昇後、Ruiterとvan der Lindenを含む4人組はRainbowでライヴ録音し、1973年5月にChipping Norton Studiosへ入りました。次作の試みは完成アルバムにならず、グループは1974年、新ドラマーと『Hamburger Concerto』のためスタジオへ戻ります。

Focusは1975年の『Mother Focus』で再び方向を変えました。David Kemperが同作のドラムの大半を担当し、短いジャズ・ファンク編曲が前面へ出ます。Brusselsでの5月セッションから「Red Sky at Night」と「Crackers」が生まれ、van LeerとAkkermanを擁するFocusの最後期スタジオ録音となりました。

その後の活動休止中、TerheggenとVernonはテープ・アーカイヴを再検討しました。Vernonが素材を選定、リミックスしてLP二面に構成し、Chipping Norton録音6曲へ1970年のアウトテイク1曲と1975年の2曲を組み合わせました。

EMI-Bovemaが1976年に欧州で『Ship of Memories』を発売し、米国のSire版は1977年に続きました。この地域別日程のため、初出は1976年であるにもかかわらず、デジタル配信で1977年作と表示される場合があります。

複数編成の合成

ドラマー3人、ベーシスト2人、複数のFocus

Thijs van Leer鍵盤、シンセサイザー、フルート、ドラム・マシン、非語彙的な声、Moogベース
Jan Akkermanギター、エレクトリック・シタール、パーカッション
Bert Ruiter1973年、1975年、後年ボーナス録音のベース
Pierre van der Linden1973年素材のドラム、「Ship of Memories」のドラムとハーモニウム
Martijn Dresden/Hans Cleuver「Spoke the Lord Creator」のベースとドラム
David Kemper「Red Sky at Night」「Crackers」のドラム
Mike Vernon編纂、リミックス、プロデュース
Barry Hammondエンジニア

参加者表記は、一つの編成による盤だという誤読を防ぎます。Van der Lindenの応答的なドラムが1973年素材を特徴づけ、Kemperは1975年曲へ直線的で引き締まった輪郭を与え、Cleuverの存在は「Spoke the Lord Creator」が明らかにデビュー期のものだと示します。

Van Leerが最も広い接続線を与えます。6年間で、オルガン中心の初期作曲からフルートとMellotron、さらにドラム・マシンとMoogベースへ移ります。編集盤は意図せず、彼のスタジオ道具の変遷史になります。

Akkermanも同様に変化します。「Can't Believe My Eyes」は硬いエレクトリック・ギターを前面に出し、「Glider」はよりファンキーな場でエレクトリック・シタールを使い、1975年の「Crackers」は『Mother Focus』周辺の切り詰めたリズム言語に属します。

Vernonの決定的な役割は曲順です。異なるセッションを消すことはできませんが、1973年の塊を先に置き、広い年代をB面へ配することで、アーカイヴに読み取れる曲線を与えます。

アルバムとしてのアーカイヴ

継ぎ目は制作上の失敗ではなく歴史的証拠

A面は4曲すべてが1973年5月のChipping Norton録音なので比較的まとまっています。4人組は行進曲風のクラシック構築、ハードロック、穏やかな番号付き器楽曲、大きなジャムからの抜粋を往来します。

「Glider」は同じ1973年アーカイヴでB面を始めながら、後のリズム・プログラミングとファンクを指します。続く「Red Sky at Night」はドラマーと低音の方法をともに変え、より完成度の高い1975年編曲で合成ベースの色を使います。

「Spoke the Lord Creator」が最も鋭い歴史的切断を作ります。1970年のオルガンとギターによる構造はより簡素で、主題は後に『Hamburger Concerto』内の「Starter」で使われる素材を先取りします。

「Crackers」は1975年の切り詰めたジャズ・ファンク言語へ戻り、その後、van der Lindenのドラムとハーモニウムによる表題断片が締めます。終曲は壮大な解決ではなく、質感へ縮められた記憶です。

残響と仕上がりの違いは聞こえるままであるべきです。Focusがいつスタジオ、リズム隊、作曲上の優先順位を変えたかを伝えるからです。

全曲ガイド

9曲それぞれが担う9通りのアーカイヴ機能

01

P's March

題名はvan der Lindenを称える「Pierre's March」を指します。フルートとピッコロが明るい素材を提示し、ギターが暗く角張った応答を持ち込みます。

長調域と短調域が明確に交替し、ジャムを編集したものではなく作曲された曲として感じられます。冒頭曲として放棄された1973年作に説得力ある入口を与え、スタジオ色の強い『Mother Focus』後にクラシック期の4人組を即座に復活させます。

02

Can't Believe My Eyes

Akkermanのハードロック器楽曲はギターとRuiterのベースを前面へ置きます。暗い重量が、フルート主導で動く「P's March」と鋭く対照します。

Van der Lindenはアクセントと内部圧力を変え、リフが静止するのを防ぎます。Van Leerの鍵盤は統率ではなく支援の役割を占めます。

この曲は、頓挫した1973年企画が一つの未完組曲ではなかったことを示します。短く力強い独立曲も含んでいました。

03

Focus V

Van Leerは抑制された旋律的器楽曲で、番号付きFocusシリーズを続けます。鍵盤の和声が、ギターとフルートが主題を形作る余地を残します。

穏やかさは未完成な作曲の証拠ではありません。「Can't Believe My Eyes」の硬い攻撃と「Out of Vesuvius」の開かれた火山的運動の間で、A面の緩和として働きます。

シリーズ内に置かれることで、一続きの作品だと主張せず、この放棄セッションを「Focus I」から「IV」へ結びます。

04

Out of Vesuvius

この抜粋は1973年のより長いジャムに由来し、4人全員が作者と記されています。反復する脈動が、短いヴァース風構造ではなく集団的な運動を支えます。

ギター、鍵盤、リズム隊が波状に圧力を生み、文字どおりの噴火効果を必要とせず、後から付いた火山の題名をふさわしい枠にします。

抜粋であることが重要です。発売版の終わりはアーカイヴ編集上の判断であり、元の演奏がこの長さで構想された証拠ではありません。

05

Glider

Akkermanのエレクトリック・シタールが1973年録音へ異例の表面を与え、van Leerのドラム・マシンはよりプログラムされたリズムの未来を指します。

グルーヴはA面の4人組ロックより軽く反復的です。旋律断片は交響的クライマックスへ突進せず、安定した基礎の上を滑ります。

この実験の素材は後に「Mother Focus」へ作り替えられ、放棄されたアルバムと1975年の様式転回を直接結ぶ曲となりました。

06

Red Sky at Night

1975年5月録音のこの曲は、別の編成時点に属します。David Kemperがドラムを演奏し、van LeerはMoogベースで低音域を形作ります。

旋律はChipping Norton素材より明瞭で、スタジオの表面も滑らかです。「O Avondrood」という歌入りの対作品も作られましたが、本作は器楽版を使います。

この配置によりB面は原型から別れへ向かいます。クラシック期の前面二人は残っていますが、制作言語は変わっています。

07

Spoke the Lord Creator

最古の録音は1970年1月26日で、初代Dresden/Cleuverリズム隊が参加します。オルガン主導の構造が、デビュー作との歴史的距離をすぐ縮めます。

この曲はBrahmsの『ハイドンの主題による変奏曲』に関係する素材をロックの文脈で試します。Focusは1974年の表題組曲で、その着想へ「Starter」として戻りました。

単なる珍品ではありません。一つの作曲上の種が4年間、複数の編成を越えて利用可能であり続けたことを示します。

08

Crackers

Akkermanが1975年5月に録音した器楽曲は、短く切るギター、Ruiterのベース、Kemperのドラムを簡潔なジャズ・ファンクの場で使います。

Van Leerの役割は交響的な諸作ほど支配的ではありません。編曲はグルーヴ、コードの色、簡潔さを重視します。

この時期最後のvan Leer/Akkermanスタジオ録音の一つとして、回顧的に響くことなく一時代を閉じます。

09

Ship of Memories

表題断片は1973年アーカイヴに由来し、ドラムとハーモニウムを奏でるvan der Lindenを中心に置きます。疎な質感は、それまでの全バンド曲すべてと異なります。

抜粋で終わることが編集盤の誠実さを強めます。作り物の大団円はなく、発掘された瞬間が宙に残されるだけです。

その断片に付けられた題名が、アルバム全体へ回顧の枠を与えます。バンド史の異なる地点から録音を運ぶ船です。

小さな規模は、発掘テープには人工的なクライマックスが必要だという期待にも抗います。Vernonは未解決の質感でアーカイヴを終わらせます。

回顧による統一

記憶は一つの当初計画ではなく編集盤に属する

『Ship of Memories』はコンセプト・アルバムとして構想されませんでした。題名と曲順は、6年間に異なる目的で作られた録音へ後から与えられました。

それでも本作が帰還を繰り返し露わにするため、記憶は有効な聴取主題になります。「Spoke the Lord Creator」は「Starter」を、「Glider」は「Mother Focus」を先取りし、「Focus V」は番号付きシリーズを続け、1973年曲は発売時にはすでに失われた編成を呼び戻します。

本作は実現しなかった未来も記録します。「Out of Vesuvius」は発売用に完成しなかった大きな形式を示唆し、放棄されたChipping Norton作はFocusを『Hamburger Concerto』とは別の場所へ導いた可能性があります。

価値は偶然性を保存する点にあります。バンド史は完成した傑作が必然的に連なるものとして示されず、捨てられた道にも音楽的実体が残ります。

海上での回収

戦時の回収写真がスタジオ発掘を捉え直す

表紙はドイツ重巡洋艦Admiral HipperがArado Ar 196偵察機を回収する記録写真を使います。バンドを描かず、船、記憶、回収を結びます。

戦時写真は視覚的に厳しく、歴史的に具体的です。一般的な海のロマンとして扱わず、軍事記録として認識すべきです。

回収という行為は本作の制作史に合います。公式スタジオ作品列の外に残された素材がカタログへ引き上げられます。ただしこれは装丁への編集的解釈であり、バンド当初の意図を主張するものではありません。

オリジナルLPの二面構成は1973年の中核4曲をA面にまとめ、B面をより広い年代のコラージュにします。

欧州では1976年

アルバム年代順の中で売られたアーカイヴ

EMI-Bovemaは1976年に欧州で『Ship of Memories』を発売し、Sireは1977年に米国で発売しました。そのため今もカタログに年代の食い違いが見られます。

当時の編成が新企画として録音したものではないにもかかわらず、本作はFocusの年代順の中で提示されました。その曖昧さにより、『Mother Focus』に続くスタジオ作のように流通しました。

LPの9曲構成には後年CDで10曲目が加わりました。1972年12月録音の米国シングル版「Hocus Pocus」です。本物の希少音源ですが、別セッションに属します。

一般にはコレクター向けアルバムとして受け取られてきました。最大の価値は歴史的・音楽的な具体性にあり、すべてのアウトテイクが完成した正典作品に等しいという主張にはありません。

失われた1973年の章

『Focus 3』と『Hamburger Concerto』を結ぶ不可欠な失われた橋

Chipping Norton録音6曲により、『Ship of Memories』はFocusが放棄した1973年のスタジオ方向を伝える主要な現存記録になります。これらがなければ、『Focus 3』から『Hamburger Concerto』への移行は実際以上に整然として見えます。

「Spoke the Lord Creator」と「Glider」は、Focusが年月を越えて素材を再利用した方法を明かします。後の変形は初期版の価値を下げず、作曲を発展し続ける実践として聴かせます。

「Red Sky at Night」と「Crackers」は、編集盤の発売年から想像する以上に直接的に1970年代のvan Leer/Akkerman協力関係の終わりを記録します。その音は『Mother Focus』と1975年最後のセッションの隣に属します。

2020年のアンソロジーは日付を記録し、別ミックスを加え、関連素材で囲むことで本作のアーカイヴ性を強めました。『Ship of Memories』はいま、より大きなテープ史の中で選び抜かれた中核として聴けます。

どの版を選ぶ?

1972年のボーナスをLP本編9曲から分ける

オリジナル9曲LPA面に1973年曲4曲、B面に複数時期の5曲を置く、Vernon編纂の36分アーカイヴ。
2001/2020年Red Bullet版1972年の米国シングル用「Hocus Pocus」再録を10曲目に追加。
『50 Years』アンソロジーオリジナル・ミックス、別ヴァージョン、関連する1975年素材を詳細なセッション情報とともに追加。

まずオリジナル9曲を聴きます。Vernonが意図した終わりを保つため、ハーモニウムとドラムによる表題断片の後で止めます。

米国版「Hocus Pocus」再録はボーナスとして扱います。1972年12月録音で、LPに含まれるChipping Norton、1970年、1975年の各素材群には属しません。

2020年アンソロジーはミックスと日付を区別するため、調査目的には最良の伴走盤です。アルバム曲順を聴くには通常のRed Bullet版がより簡潔です。

表紙の参加者表記を一つの編成へ割り当ててはいけません。曲の日付を使います。1970年は初代4人、1973年はRuiter/van der Lindenを含む4人、1975年はRuiter/Kemperのリズム隊です。

聴き進め方

Vernonの曲順を聴いた後、セッション別に並べる

  1. 最初の一巡: 発売どおりVernonの9曲構成を聴き、B面の年代的な跳躍に気づく。
  2. 1973年を再構成する: 「P's March」から「Glider」までを表題断片とまとめ、放棄されたChipping Norton企画を想像する。
  3. 変形をたどる: 「Spoke the Lord Creator」と「Starter」、「Glider」と「Mother Focus」を比較する。
  4. 別れを聴く: 「Red Sky at Night」と「Crackers」を1975年のアルバムおよび「O Avondrood」と並べる。
  5. ボーナスは最後に加える: 米国版「Hocus Pocus」再録を独立した1972年の付録として聴く。

調査資料

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