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クラシック・アルバムガイド

Aoxomoxoa

The Grateful Dead · 1969年 · サイケデリック・ロック

1969年6月20日発売のThe Grateful Dead第3作。初のセルフ・プロデュースによる16トラック録音であり、全曲の歌詞を初めてRobert Hunterが担った。

1969年6月20日発売オリジナルLP全8曲1969年オリジナル・ミックスと1971年リミックス
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作品概要

基本情報

アーティスト
Grateful Dead
発売
1969年6月20日
アルバム
第3作目のスタジオ・アルバム
オリジナル曲数
8曲
レーベル
Warner Bros.-Seven Arts
制作
Grateful Dead

重要性

作曲術とスタジオの自由が同時に訪れる

『Aoxomoxoa』は二つの大きな変化を同時に起こす。The Grateful Deadが自ら制作し16トラック録音へ進む一方、全8曲の歌詞をRobert Hunterが書いた。

その組み合わせが異例の緊張を生む。いくつもの曲に長く残る旋律と物語の核がある一方、制作は積層した声、打楽器、鍵盤、電子処理でそれらを囲み、明かすのと同じほど覆い隠す。

『Anthem of the Sun』より曲中心だが、実験性が低いわけではない。簡潔な「Rosemary」から、ほぼ身体を失った声の世界「What’s Become of the Baby」まで両極を持つ。

Garciaは中心的作曲者兼リード歌手になるが、グループをソロ活動の器にはしない。「St. Stephen」はLeshとの共作で、すべての編曲が7人編成内部の運動に依存する。

重要性はその後にもある。バンドは1971年に戻り完全な別ミックスを作ったため、『Aoxomoxoa』は聴き手がどの公式版を持つかによって長く個性が左右されてきた稀なカタログ作品になった。

1968-1969

16トラックで再始動したセルフ・プロデュース作

『Anthem of the Sun』はスタジオとコンサートの素材をテープ・モンタージュで組み立てた。次作では一度録音を始めた後、新たに使えるようになった16トラック機材を生かすため作業をやり直した。

セッションは1968年9月から1969年3月まで、San MateoのPacific RecordingとSan FranciscoのPacific Highで行われた。

The Grateful Deadがプロデュースに名を連ね、Bob Matthewsがエグゼクティヴ・エンジニア、Betty Cantorがエンジニアを担当。Dan Healy、Owsley、Ron Wickershamも技術陣として記載された。

Tom Constantenは7人の録音編成に入り、Pigpenのオルガンとツイン・ドラムの土台へ鍵盤を加えた。Hunterが全8曲を作詞し、Garciaは7曲を作曲、「St. Stephen」の音楽をLeshと共作した。1969年6月20日の発売後、バンドは1971年9月にAlembic Studiosで新ミックスを制作し、MatthewsとCantorがリミックス・エンジニアを務めた。

バンド、作詞家、エンジニア陣

7人の演奏者、Hunterの言葉、内部の音響チーム

Jerry Garciaギター、ボーカル、中心的作曲者
Bob Weirリズム・ギター、ボーカル
Phil Leshベース、ボーカル、「St. Stephen」の共同作曲
Ron Pigpen McKernanオルガン、コンガ、ボーカル
Bill Kreutzmann、Mickey Hartドラム、打楽器
Tom Constantenキーボード
Robert Hunterオリジナル全8曲の作詞
Bob Matthews、Betty Cantor、Dan Healy、Owsley、Ron Wickershamエンジニアリング、技術制作、後年のリミックス作業

GarciaはHunterの各テキストを異なる旋律的性格で形づくる。「Dupree」の物語り手、「Mountains」の儀礼的歌手、「Baby」の加工された声は、一つの安定した人物像に属さない。

Weirのギターは、放っておけば純粋な質感へ漂いかねない制作へリズムの輪郭を与える。集団歌唱でも「St. Stephen」と「Cosmic Charlie」を厚くする。

Leshのベースは独立して旋律的であり続け、とりわけスタジオ・パートの積層がグルーヴを止めそうな場面で効く。「St. Stephen」の共作クレジットは、より広い作曲上の存在感を映す。

Pigpenは『Anthem』B面ほど支配的でないが、オルガンと打楽器が電気的な曲群をバンドの舞台上の個性へつなぎ留める。

KreutzmannとHartは追加トラックを脈動だけでなく色彩にも活用する。複数の打楽器的出来事が、『Live/Dead』のような長いライヴ展開を必要とせず移行を縁取る。

Constantenの鍵盤は装飾的な表面へ自然に収まり、格調あるピアノ色、サイケデリックな質感、声の実験の奇妙な縁をつなぐ。

16トラックによる構築

積層、分離、二つの公式視点

16トラック録音は選択肢を増殖させる。バンド全体を一つの部屋のバランスへ固定せず、声を重ね、打楽器を分離し、鍵盤を積層し、効果を加えられる。

その能力を全曲で均一には使わない。「Dupree」と「Rosemary」は比較的簡潔な歌の形を保ち、「Doin’ That Rag」と「What’s Become of the Baby」は制作介入を中心に置く。

アコースティック素材と電気素材が絶えず役割を交換する。「Mountains of the Moon」は形式的に古風に響き、「China Cat Sunflower」は独立した各部をステレオ空間へ浮かべ、「Cosmic Charlie」はロック・バンドの中心を再建する。

1969年オリジナル・ミックスは概してより密な歴史的構築だ。1971年のバンド・ミックスはバランス、編集、処理を変え、ときに曲の構造をより明瞭に露出する。

どちらも単なる音質向上版ではない。長さと内容の違いにより、選択は音色の印象だけでなく編曲そのものを変え得る。

全8曲は徐々に様式を進めるのでなく対比を使う。電気的な召喚、無法者の物語、小品、よろめく舞踏、アコースティックな儀礼、サイケデリックな運動、身体を失った声、帰還するロック曲という順だ。

全曲ガイド

物語、儀礼、スタジオの幻影を行き来する8曲

01

St. Stephen

Garcia、Hunter、Leshが本作で最も広がりあるアンサンブル曲を冒頭へ置く。力強いギター音型と集団歌唱が識別しやすい柱となり、変化する区分、休止、スタジオの細部が単純なアンセム化を防ぐ。Hunterの像は直線的伝記でなく問いと断片として現れる。編曲は永続する作曲と制作上の出来事を釣り合わせ、この装飾的なスタジオ環境の外でも曲が生き残れた理由を示す。中断に耐える強い形式が神秘を運ぶという『Aoxomoxoa』の理想を提示する冒頭曲だ。

02

Dupree's Diamond Blues

GarciaとHunterは伝統的犯罪バラッドの状況を簡潔なオリジナル物語へ変える。声は会話的で、アコースティックと電気の色彩が脈動を軽く保ち、編曲は物語の細部を前景に残す。スタジオ効果はあるが、出来事の順序や結果を圧倒しない。「St. Stephen」の象徴界の後、「Dupree」は固有の行動、動機、罰を与える。後の『Workingman’s Dead』で本格化する簡潔なAmericanaの物語術を指し示すが、その後発作のアウトテイクには響かない。

03

Rosemary

最短曲は本作を繊細な声の幻へ縮める。Garciaの旋律とHunterの庭園像を脆く加工された空気が囲み、形式が凝縮されているから小さな変化が意味を持つ。「Rosemary」は人物を説明せず、場面を完全な物語にもしない。目的は宙吊りだ。「Dupree」の物語的明瞭さと「Doin’ That Rag」の混み合うリズム劇場の間に置く小品である。色ガラス越しに記憶される歌のように、制作が親密さをわずかに届かぬものにする。

04

Doin' That Rag

シンコペートする歌の核が、停止、声の層、楽器の注釈、重心変化によって繰り返し複雑化する。Garciaのリードは遊び心に満ちるが、編曲はベース、リズム・ギター、鍵盤、打楽器へ精度を要求する。Hunterの舞踏的な言葉は一つの社会場面に落ち着かず、運動自体が主題になる。二つのミックスは、バランスと編集が編曲の見かけの密度をどう変えるかを特に明瞭に示す。A面を閉じる「Doin’ That Rag」は、床が動き続ける混雑した舞台のようにスタジオを響かせる。

05

Mountains of the Moon

アコースティック弦と格調ある鍵盤色が、本作で最も儀礼的に抑えた空間を作る。GarciaはHunterの古語めく言葉を、単純な歴史バラッドへ変えず歌う。反復する呼びかけは招きと別れを同時に感じさせる。制作の細部はリズムの過積載でなく音色と声の空気へ集中する。B面冒頭の「Mountains」は「China Cat」の可動的な電気場を前に静止を与え、最大音量でなく距離、儀礼、暗示でもサイケデリアが働くと示す。

06

China Cat Sunflower

独立したギター、ベース、鍵盤、打楽器の線が簡潔な歌を周回する。Garciaの旋律はHunterの像へ十分な輪郭を与え、楽器が別々の平面にあるように響いても記憶へ残す。スタジオ版の焦点は長い即興より分散運動にあり、一つのパートだけではグルーヴ全体を説明できない。後に舞台上で別の形を取るが、この録音は16トラック設計としてそれ自体に価値がある。「Mountains」の後、色彩は古風な陰から明るい電気的機動性へ変わる。

07

What's Become of the Baby

Garciaの声が、拡張されたスタジオ環境の主要原料になる。通常のリズム隊、和声伴奏、ヴァース境界が後退し、エコー、加工、移動する空間がHunterのテキストを作り変える。1969年版と1971年版はその環境を通る実質的に異なる経路を示し、本作で最もミックス依存の曲にする。周囲の曲を意図的に中断し、バンド演奏で奇妙な世界を描く代わりにバンドの中心を除き、声だけで儀礼、不安、持続時間を運べるか問う。

08

Cosmic Charlie

終曲は「Baby」の宙吊りの声の場から、ギター、リズム、集団の声を復帰させる。GarciaとHunterは帰還、観察、少し歪んだ温かさを保つリフレインを軸に曲を組む。積層制作は聞こえるが、バンドは電子的幻影でなく再び社会的単位として振る舞う。この配置は先の実験が解決したとは言わず、本作へ本物の再入場を与える。「Cosmic Charlie」は見覚えある人物が視界へ歩き戻ることで、サイケデリックなスタジオ循環を閉じる。

連続した筋書きはない

死すべき運命、変容、信頼できない世界

『Aoxomoxoa』に連続した物語はない。Hunterの言葉は、不安定な自己、変容、死、儀礼、帰還で結ばれた八つの別世界を作る。

人物は完全な説明なしに現れる。St. Stephen、Dupree、Rosemary、「Mountains」の者たち、Cosmic Charlieは、音楽がどう縁取るかによって部分的に定義される。

直線的な解決より循環が重要だ。誕生、衰退、犯罪、舞踏、消失、帰郷は反復するが、一つの筋書きにはならない。

声そのものが全編で身分を変える。物語り手、親密な証人、合奏の一員、儀礼の呼び手、加工対象だ。回文の題名とGriffinのアートは対称と帰還を強めるが、曲ごとの秘教的暗号を捏造する根拠にはできない。

Rick Griffin

成長と帰還を映すRick Griffinの回文

Rick Griffinは表ジャケットを描き、仮題『Earthquake Country』よりバンドが好んだ回文「Aoxomoxoa」を提案した。種、木、太陽、頭蓋骨、スカラベ、翼ある形を、成長、死、再生の循環へ結ぶ。文字は絵から切り離せず、題名とバンド名は読むのと同じほど解読する形になる。

Thomas Weirが関連するジャケット写真を提供した。装丁に記録された象徴は十分に豊かであり、推測的な隠しメッセージ説を事実として繰り返す必要はない。

Warner WS 1790

後に別ミックスを通して聴かれた第3作

Warner Bros.-Seven Artsは1969年6月20日、The Grateful Deadの第3作として『Aoxomoxoa』を発売した。全8曲は初のセルフ・プロデュース・スタジオ作であり、初の16トラック録音でもある。1969年オリジナル・ミックスが約2年間発売盤を代表し、1971年にバンド制作の完全リミックスが登場した。

リミックスが広く流通したため、後世の聴き手は別の完全ミックスの存在を知らず歴史的改訂版へ接することが多かった。発売は『Live/Dead』の5か月足らず前で、高度に構築したスタジオ・サイケデリアと直接的なコンサート表現が同じ年に並んだ。

スタジオの転換点

複数の未来へ道を開くサイケデリック・スタジオ期の終点

『Aoxomoxoa』はDead初期の最も精巧なスタジオ期の終点であり、後の方向性の苗床でもある。「Dupree’s Diamond Blues」と「Mountains of the Moon」は簡潔なアメリカ歌謡形式への強い転換を予告し、「St. Stephen」と「China Cat Sunflower」はライヴの中核に残った。「What’s Become of the Baby」は、バンドがアルバム全体の常套手段にはしなかった実験路を示す。

1971年リミックスは無視すべき失敗でなく作品史の一部であり、1969年版は初版理解に不可欠だ。長く生きるよう作られた曲と、1968〜69年の技術的可能性へ強く結ばれた制作判断、その未解決の緊張に遺産がある。

どのミックスを選ぶ?

1969年オリジナル版と1971年バンド・リミックス

より密な初期構築による、歴史的に発売された全8曲。
バランス、編集、長さが異なる完全な別ミックス。
両ミックスと1969年1月Avalon Ballroom公演の9曲。

初出時の姿を知るため1969年ミックスから始め、次に1971年版を再生する。数秒ごとに切り替えず曲全体で比べたい。各ミックスが固有の内的空間を築くからだ。ミックス判断が編曲の知覚を大きく変える「Doin’ That Rag」「China Cat Sunflower」「What’s Become of the Baby」へ特に注目する。

周年版のAvalon公演9曲はコンサートの伴走資料であり、「Cosmic Charlie」以後の続編ではない。マスタリングは微小な効果とステレオ配置を保ち、積層打楽器を耳障りな輝きへ変えないものがよい。

聴き進め方

ミックス比較の前に曲の核を比べる

  1. まず「St. Stephen」と「Dupree」で、制作の下にある持続的な曲の核を見極める。
  2. 「Rosemary」と「Mountains of the Moon」を、抑制と距離の二つの異なる使い方として聴く。
  3. 「Doin’ That Rag」と「China Cat Sunflower」で、リズム各部がどう独立性を保つか追う。
  4. 「What’s Become of the Baby」を最後まで聴いてから、「Cosmic Charlie」を再入場として用いる。
  5. その後1969年版と1971年版を比べ、バランス、内容、速度感の具体的変化を書き留める。

調査の道筋

出典と参考資料

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