概要
Supertrampはプログレッシブ・ロックと端正なポップ・ソングの間に独自の居場所を築いた。1973〜83年の黄金期には、Rick DaviesとRoger Hodgsonに、ベースのDougie Thomson、ドラムのBob Siebenberg、サックスのJohn Helliwellが加わった。DaviesとHodgsonは別々に作曲しながら共同名義を掲げ、それぞれ自作を歌って対照的な個性を示した。Daviesはブルースとジャズ、乾いた低音の歌声を、Hodgsonは高いテナー、アコースティック・ギター、明るく浮遊する旋律を持ち込んだ。
楽曲を包む緻密な編曲こそがグループの個性になった。Wurlitzer電気ピアノ、グランド・ピアノ、各種鍵盤、サックス、クラリネット、エレクトリック/アコースティック・ギター、周到に設計された強弱の変化により、ラジオ向けのシングルにもSupertrampらしさがはっきり表れる。その音楽語法は英国4位の躍進作『Crime of the Century』から、世界規模の『Breakfast in America』まで運んだ。
結成と歴史
Rick Daviesは1969年、『Melody Maker』に広告を出し、オランダ人支援者Stanley August Miesegaesの資金でグループを集めていた。Roger Hodgsonが応じ、当初Daddy、後にSupertrampと呼ばれたバンドへ加入。商業的に失敗した2作の後、編成を再構築した。Thomson、Siebenberg、Helliwellを迎え、Ken Scottが『Crime of the Century』を共同制作した。1974年発売、英国4位。
『Breakfast in America』は1979年3月に続いた。米国とカナダのアルバム・チャート1位、グラミー賞2部門を獲得し、1,800万枚超を売った。Hodgsonは1982年作『...Famous Last Words...』とその巡演後に脱退した。Daviesは1988年の解散まで後作を率い、1996年にSupertrampを再始動し、2010〜12年にも公演へ戻った。最後の公式公演は2012年のマドリード。2015年予定の巡演はDaviesが多発性骨髄腫と診断されたため中止。Daviesは2025年9月、81歳で死去した。
サウンドとスタイル
Supertrampの音はすぐに聞き分けられる。Hodgsonの澄んだ高いテナーとDaviesの低くざらついた声、Daviesの打楽器的なWurlitzerの音型、Hodgsonのアコースティック・ギターとピアノ、そしてフックにも語り手にもなるHelliwellのサックスとクラリネット。Thomsonのよく動くベースとSiebenbergの統制されたドラムが、密度の高い編曲を明瞭に保つ。
二人の作者の役割分担は重要だ。Hodgsonは「Give a Little Bit」「The Logical Song」「Breakfast in America」「Take the Long Way Home」を、Daviesは「Bloody Well Right」「Crime of the Century」「Goodbye Stranger」を書いた。通常はそれぞれが自作を歌うため、曲ごとに語り手も声域も和声の性格も変わる。それでも5人の編曲が、アルバム全体を一つの流れにまとめている。
必聴アルバム
Crime of the Century
1974年この躍進作は寄せ集めのシングル集ではなく、全8曲で一つの弧を描く。「School」はハーモニカと校庭の音、長い器楽的な高まりで始まり、「Bloody Well Right」がDaviesのWurlitzerと皮肉な歌で応える。「Dreamer」はHodgsonのリズミカルな鍵盤作法をポップの形式へ凝縮。終盤の表題曲は閉塞のイメージへ戻り、Davies屈指の堂々たるピアノ音型で幕を閉じる。Ken Scottの制作は幾重ものアコースティック音と電気楽器を鮮明に分離した。英国4位、チャート22週。
主要曲:School · Crime of the Century · Dreamer
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1979商業的な頂点に立ちながらも楽器の個性は捨てず、持ち味を明確に異なる10曲へ凝縮した。Hodgsonの「The Logical Song」、表題曲、「Take the Long Way Home」は、親しみやすい旋律を通じて教育、幻想、郊外の不安へ踏み込む。Daviesは「Gone Hollywood」の暗いハリウッド物語と「Goodbye Stranger」の洗練された冷笑を担う。Helliwellのサックス、DaviesのWurlitzer、リズム隊が異なる視点を結びつける。英国3位、53週チャート入り、世界で1,800万枚超を売った。
主要曲:Gone Hollywood · Breakfast in America · Take the Long Way Home
アルバムガイドを開く → Amazonで見る →コロラドとロサンゼルスで録音され、Hodgsonのアコースティック曲「Give a Little Bit」、Daviesの親密なピアノ・バラード「Downstream」、壮大な終盤組曲「Fool's Overture」を収める。「Babaji」と表題曲は精神的な探究を、緻密に重ねた鍵盤編曲へ変換し、「From Now On」はDaviesの人物描写を合唱による終結まで押し広げる。小部屋のような親密さとシンフォニックな規模の対照は、音の特徴であると同時に作品の主題でもある。英国12位、22週チャート入り。
主要曲:Give a Little Bit · Even in the Quietest Moments · Downstream
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さらに深く
Crisis? What Crisis?
1975年躍進後の圧力下で録音された『Crisis? What Crisis?』は以前のセッションから残った素材を一部使いながら、陽光を浴びたようでいて不穏な独自の空気を作る。「Sister Moonshine」はHodgsonの引き締まったアコースティック曲、Daviesの「Ain't Nobody but Me」は硬質なブルース。「Another Man's Woman」はピアノ主導の人物描写から長いバンド演奏へ発展し、「Two of Us」は前作の劇的な終結を繰り返さず静かに閉じる。LPは英国20位。
アルバムガイドを開く → Amazonで見る →Hodgson参加最後のスタジオ作には、すでに別々の未来へ向かい始めたバンドの姿が刻まれている。彼の「It's Raining Again」「C'est le Bon」は率直な旋律を前面に出し、Daviesの「My Kind of Lady」は50年代のヴォーカル・ポップを振り返る。「Waiting So Long」が重い対抗軸となり、「Don't Leave Me Now」は解決ではなく繰り返す懇願で閉じる。英国6位。ツアー後、Hodgsonは脱退した。
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Supertrampは、長尺の編曲や緻密なスタジオ制作が、記憶に残るシングルと無理なく共存できることを示した。黄金期の作品群は、個性を一つに溶かした作曲コンビの産物ではない。DaviesとHodgsonが同じ5人編成を通じて別々の歌を提示すること自体が、バンドの個性を作った。その構造を知れば作品の幅と、Hodgsonの脱退がグループを決定的に変えた理由が見えてくる。
チャート記録はその広がりの確かな証拠だ。『Crime of the Century』、『Even in the Quietest Moments...』と『Breakfast in America』は英国アルバム・チャートに合計97週入り、最後の作品はプログレッシブ・ロック、アート・ロック、ポップの聴衆を世界規模で結びつけた。その後のDavies主導作と再結成は、70年代の均衡を模倣するのではなく、別の章を切り開いている。
つながるアーカイヴ経路