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クラシック・アルバムガイド

Fragile

Yes · 1971 · Progressive Rock

必聴アルバム
クラシック編成による最初の全編アルバムは、大規模な合奏曲と短い個人曲を釣り合わせ、各奏者の役割を異例なほど鮮明に映し出す。
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アルバム概要

アーティストYes
アルバムFragile
発売年1971年
主要ジャンルプログレッシヴ・ロック
RetroForgeガイド区分必聴アルバム
当時のレーベルAtlantic (版により異なる)
ガイド階層Tier B
発売日26 November 1971
録音期間1971年9月
オリジナル・レーベルAtlantic Records
プロデューサーYes and Eddy Offord
UKチャート最高位7位
関連スタイルSymphonic progressive rock, art rock

このアルバムを聴く理由

このアルバムが重要な理由

『Fragile』はRick Wakemanを迎えたYesの新編成を確立し、Roger Deanとの視覚面での長い協働も始めた。バンド全員による4曲の間に、各メンバーを主役とする5つの小品を挟む異例の構成である。一人ずつ奏者を紹介しながら、合奏曲をいっそう壮大に響かせる。

『Roundabout』と『Heart of the Sunrise』は今なお親しみやすい入口だが、本作の真価は編曲にある。ベース、ギター、鍵盤、ドラム、重ねられた歌声は、最も音が込み合う瞬間にもそれぞれ明瞭だ。小品が全体の尺度を変え、曲間の移行さえサビのように記憶へ残す。

テープが回る前

歴史的背景と録音

YesはTony Kayeの脱退後、1971年8月にリハーサルを始め、9月に録音した。Rick WakemanがAnderson、Bruford、Howe、Squireに加わり、本作の編成が完成した。Yesworldの記録では、プロデュースはバンドとEddy Offordによる。

前作『The Yes Album』で聴衆を広げたYesは、本作でも長編の合奏曲を保ちながら、各人の個性を示す余白を作った。WakemanによるBrahmsの編曲、Howeのアコースティック・ギター、Squireの多重録音ベース曲、Brufordの小品がそれに当たる。

演奏者と制作

参加者と楽器

Jon Anderson

ボーカル

Carries high lead melodies and builds the layered vocal feature We Have Heaven.

Steve Howe

Electric and acoustic guitars, vocals

輪郭鋭い合奏と、独奏アコースティック曲『Mood for a Day』の間を自在に行き来する。

Chris Squire

ベース、歌

Makes bass a lead register and constructs The Fish from layered parts.

Rick Wakeman

Organ, piano, Mellotron and synthesisers

目まぐるしく変わる鍵盤の色彩と管弦楽的な広がりを加え、独奏曲『Cans and Brahms』では編曲の技量も示す。

Bill Bruford

ドラム、打楽器

長い構成を軽快に保つ一方、リズムの小品『Five per Cent for Nothing』も提供した。

聴きどころ

サウンド

バンド曲の明快さは、各楽器をきちんと分離した音作りに支えられている。Squireの明るいベースが対旋律を奏で、Howeは鋭い音の立ち上がりと長い余韻を使い分ける。WakemanはAndersonの声を覆わずに上下の空間を満たし、Brufordはシンバル、スネア、沈黙を精密に切り替えて場面の転換を際立たせる。

個人曲は単なる間奏ではない。音色と規模をいったん整え直し、5人の合奏が戻るたびに新たな立体感を与える。『We Have Heaven』はそのまま『South Side of the Sky』へ流れ、『Long Distance Runaround』と『The Fish』はほぼ一続きの組曲として機能する。

オリジナル曲順

全曲ガイド

01

Roundabout

Written by Jon Anderson and Steve Howe

逆再生されたピアノの響きとアコースティック・ギターの倍音から、誰もが分かるベース音型へ展開する。音を足したり引いたりしながら、中央のオルガン部分と歌の再登場によって長編曲の向きを絶えず変えていく。

02

Cans and Brahms

Written by Johannes Brahms, arranged by Rick Wakeman

WakemanはBrahmsの一楽章を、複数の鍵盤を使う簡潔な小品へ置き換えた。曲目と規模を変え、新加入の彼を短く単独で紹介してから、バンドのオリジナル曲へ戻る。

03

We Have Heaven

Written by Jon Anderson

多重録音した声が、わずかな言葉を回転するような声の織物へ変える。物語の進行に代わって反復が働き、次曲へ突然つながることで個人の肖像と曲間の橋渡しを兼ねる。

04

South Side of the Sky

Written by Jon Anderson and Chris Squire

硬質な合奏の導入部が、孤立と忍耐を歌う曲を縁取る。中央のピアノと歌の部分で圧力が止まり、やがてバンドはさらに大きな重みを伴って戻る。対比は大胆だが、周到に準備されている。

05

Five per Cent for Nothing

Written by Bill Bruford

Brufordの小品は、不規則な合奏の句読点を1分足らずへ凝縮したものだ。鋭く切り取られたリズム図のように働き、続く滑らかな歌の前で耳をいったん澄ませる。

06

Long Distance Runaround

Written by Jon Anderson

ギター、ベース、鍵盤が、率直な歌の旋律の下で折り返す短い音型を示す。簡潔な形式でも各パートの自立性は高く、終わりからSquireの個人曲へ間を置かず開いていく。

07

The Fish (Schindleria Praematurus)

Written by Chris Squire

重ねられたベースは通常の独奏ではなく、一つの音響空間を築く。打楽器と反復する声が音の蓄積を支え、『Long Distance Runaround』から低音域の勢いをそのまま引き継ぐ。

08

Mood for a Day

Written by Steve Howe

Howeのアコースティック曲は、録音の密度を指先の感触、響き、整った形式美へ置き換える。終曲前の静かな境目となり、電気楽器中心の演奏にも息づくクラシックとフォークの語法を前面へ出す。

09

Heart of the Sunrise

Written by Jon Anderson, Chris Squire and Bill Bruford

厳しい導入音型が、むき出しの歌の空間へ何度も道を譲る。ベースとドラムが長い緊張を制御し、鍵盤とギターが色合いを変える。音の密度を長く抑えるからこそ、最後の回帰は圧倒的に響く。

着想と空気

主題とコンセプト

物語を持つコンセプト作ではないが、題名と構成は相互依存を強く意識させる。個人曲がそれぞれ異なる声を示し、4つの合奏曲は、その違いが協働するところからバンドの力が生まれると伝える。

動き、距離、自然環境の大きさが歌詞に繰り返し現れる。音楽もまた、アコースティックな細部から巨大な電気的音塊へ、孤立した奏者の肖像から集団の形式へと旅をする。

ジャケット

カヴァー・アートと提示

Roger Deanが初めて手がけたYesのジャケットは、表面が今にも崩れそうな小世界を描く。脆さを惑星規模の情景へ結びつけ、Deanとバンドの長い視覚的関係を始めた。内側に置かれた肖像写真も、5人それぞれの個性を紹介する構成を補強している。

発売当時

発売と同時代の反響

Atlanticから1971年11月26日に発売。英国では7位に達し、再登場を重ねながら長くチャートに残った。Yesworldは、後に米国でダブル・プラチナ認定を受けたことも記録している。

難度の高い構成を保ちながら、作品はバンドの裾野を広げた。『Roundabout』は簡潔で親しみやすい入口だが、オリジナルLPでは集団制作と個人制作を交互に配置する流れの一部として置かれている。

初版以後

評価と遺産

高度な演奏力を分かりやすい対比の周りに組み立てたため、本作はYesを代表する一枚となった。『Roundabout』のベース、Howeのアコースティック曲、Wakemanの鍵盤、『Heart of the Sunrise』の構築美――どこから入っても、アルバム全体を一つの様式へ還元することはできない。

合奏曲と個人曲を交互に置く設計は、メンバー構成そのものを作曲として聴かせる。後のYesはより長く連続する形式を追究するが、本作はクラシック編成の異なる語法がどうかみ合うかを最も明快に示す案内役である。

どの版を選ぶか

各版と試聴メモ

歴史的な基準はEddy Offordによるオリジナル・ミックスだ。Yesworld公認のSteven Wilson版はマルチトラック音源へ戻り、ステレオと5.1の新ミックスを制作しつつ、オリジナル版も収録している。

小品を飛ばさず、全9曲を曲順どおりに再生したい。配置が4つの合奏曲の大きさを決めており、小品を除けば、意図的に変化を持たせたアルバムが平凡な曲集へ変わってしまう。

実践的な入口

おすすめの聴き方

最初の曲『Roundabout』では、ベース、アコースティック・ギター、鍵盤、ドラム、重ねた歌声を通して5人の編成が紹介される。
TransitionsFollow We Have Heaven directly into South Side of the Sky.
ベースHear Long Distance Runaround and The Fish as a connected sequence.
アルバム全編すべての個人曲を残して聴けば、『Heart of the Sunrise』が本来意図された大きさで到来する。
同じアーティストContinue with Close to the Edge for the lineup's next long-form statement.
Alternate mixまずオリジナル・ステレオ版で各楽器の関係を把握し、その後に公認のWilsonリミックスを聴き比べたい。

調査記録

出典と参考資料

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