アルバム概要
このアルバムを聴く理由
このアルバムが重要な理由
『Relayer』はPatrick Morazが参加した唯一のYesのスタジオ作であり、彼の鍵盤がバンドをより鋭いジャズ・ロックの語法へ押し進めた。片面を占める長編の後に短い2曲を置く構成は『Close to the Edge』を思わせるが、内部の動きは異なる。打楽器はより攻撃的で、鍵盤の管弦楽的な性格は薄れ、Steve Howeのギターは輝くというより鋭く切り込む。
3曲は、衝突、速度、解放の順に進む。『The Gates of Delirium』は大半を戦いの準備と展開に費やし、最後の『Soon』部分でペダル・スティール、歌、宙に浮くような和声だけを残す。『Sound Chaser』はリズムの応酬を凝縮し、『To Be Over』は緊張を消し去ることなく広がりを取り戻す。
テープが回る前
歴史的背景と録音
Rick Wakemanは『Tales』のツアー後に脱退した。Yesは後任候補を試し、Patrick MorazをJon Anderson、Steve Howe、Chris Squire、Alan Whiteとの制作へ招いた。Yesworldによれば、1974年8月から10月にかけてVirginia WaterにあるSquireの自宅New Pipersで録音し、Advisionでミックスした。
Eddy Offordは機材をガレージへ運び込み、仮設スタジオを作ってバンドと共同制作した。Londonを離れた録音環境とMorazの加入は、継続在籍する4人を残しつつ、バンドに新たな作業の場を与えた。
演奏者と制作
参加者と楽器
Jon Anderson
リード・ヴォーカル
Carries the long narrative arc and the exposed melodic release of Soon.
Steve Howe
Acoustic and electric guitars, vocals
3曲を通してTelecasterの鋭い音、ペダル・スティール、アコースティックな色彩を使い分ける。
Chris Squire
ベース、歌
Combines rhythmic drive with independent melodic movement.
Patrick Moraz
キーボード
Introduces fast, percussive lines and a jazz-oriented harmonic edge.
Alan White
ドラム、打楽器
Makes the changing metres forceful and contributes as a collective writer.
聴きどころ
サウンド
『Relayer』はYesの作品としては異例に乾いて尖った音を持つ。HoweのギターとMorazの鍵盤はしばしば同じリズムの前面に立ち、伴奏と主役ではなく互いに議論するように動く。SquireとWhiteが十分な肉体的連続性を与えるため、その応酬は断片化しない。
作品は極端な対照に支えられている。密集した合奏が突然止まり、むき出しの歌、ペダル・スティール、アコースティックな余韻へ移る。穏やかな場面は飾りの休息ではなく、直前の加速がもたらした感情的な代償を明らかにする。
オリジナル曲順
全曲ガイド
The Gates of Delirium
Written by Anderson, Howe, Squire, Moraz and White
片面を占める冒頭曲は、準備から長い器楽的な衝突を経て、静かな終結部『Soon』へ進む。反復音型は同じ姿で戻るのではなく、少しずつ蓄積する。戦闘部分では打楽器と鍵盤が意図的に混み合い、その後ほとんどすべてを取り去って、ペダル・スティールと歌だけで解放を作る。
Sound Chaser
Written by Anderson, Howe, Squire, Moraz and White
WhiteとMorazの唐突なリズム対話で始まり、全員が鋭いユニゾンと素早い変化を通してその速度を保つ。Howeのカデンツァが一時的にギターだけを切り出すが、合奏はすぐさま戻る。単なる技巧の展示にせず、反応速度そのものを音楽にした曲だ。
To Be Over
Written by Anderson, Howe, Squire, Moraz and White
終曲は重ねた歌声、ペダル・スティール、穏やかな旋律の土台によってアルバムの空間を広げる。内声には複雑さが残るが、表面は落ち着いている。『Sound Chaser』の圧縮された運動を経た後だからこそ、その静けさには必然性がある。
着想と空気
主題とコンセプト
戦争と平和が『The Gates of Delirium』を形作るが、3曲全体を貫く一つの物語はない。作品をより大きく結ぶのは変容である。攻撃性は内省へ、速度は浮遊へ、硬い音の立ち上がりは持続音へ移っていく。
題名は、奏者同士や異なる状態を中継するものを示唆する。音楽では歌詞だけでなくリズム隊もその役割を担い、動機は絶えず受け渡され、姿を変え、戻ってくる。
ジャケット
カヴァー・アートと提示
Roger Deanは、曲線を描く建造物が開けた空間へ伸びる、淡い色調の要塞的風景を描いた。脅威と距離感を同居させた絵は、衝突と最後の平穏への探求を結ぶアルバムに呼応する。
発売当時
発売と同時代の反響
『Relayer』は1974年末に発表され、英国4位に到達した。Rhinoの記念記事は米国5位も記録している。メンバー交代とYes屈指の角張ったスタジオ音楽を伴いながら、強いチャート成績を収めた。
バンドは本作をツアーで演奏した後、5人全員がソロ作を制作する時期に入った。Morazはその間と1976年の公演まで在籍したが、Yesの別のスタジオ作には参加しなかった。
初版以後
評価と遺産
後のどのYes編成も同じ楽器の化学反応を再現しなかったため、『Relayer』は今なお際立っている。Morazの鋭いタッチ、作曲面で存在感を増したWhite、切り込むHoweのギター音が、Wakeman参加作のより交響的な響きと本作を分ける。
『The Gates of Delirium』と『Soon』は、極端に密集した音とむき出しの抒情性が、同じ連続形式に共存できることを示す。長さそのものではなく、この対照が作品に持続する劇的な個性を与えた。
どの版を選ぶか
各版と試聴メモ
Yesworldが記録する公認のSteven Wilson版には、ステレオと5.1の新ミックス、Eddy Offordによるオリジナル・ミックス、別版アルバム、当時の追加音源が収録されている。本作の圧縮された強度を理解するには、今もオリジナル版が欠かせない。
3曲を順番どおりに聴きたい。ミックスを比べるなら、『Gates』の戦闘部分と『Sound Chaser』冒頭に注目する。わずかな分離感の違いが、知覚されるリズムを大きく変える箇所だ。
実践的な入口
おすすめの聴き方
調査記録
出典と参考資料
- Relayer official discographyYesworld, official artist archive
- Relayer chart historyOfficial Charts Company
- Happy Anniversary: Yes, RelayerRhino, official catalogue label
- Live at Roosevelt Stadium release documentationRhino, official catalogue label